Daily Archives: 2010 年 4 月 24 日

映画『愛を読むひと』監督:スティーヴン・ダルドリー

監督 スティーブン・ダルドリー
製作 アンソニー・ミンゲラ他
脚本 デヴィッド・ヘアー
出演者:ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ他
原作:『朗読者』ベルンハルト・シュリンク

地中海ブログ
 というところの影響を受けて、色々考えるとっかかりができたので、ついでに考えてみる。
 もしよければ、「愛を読むひと」借りてから以下読んでみて貰えると共感できるかも?

 見ていて終始感じていたテーマは「悪の線引き」だと感じていた。

 まず前半で若い童貞君とそこそこの女性とが関係する。
 その童貞君がじっくりと映画の時間を使いながらどんどん女性にはまっていく。見ているこっちもその女性にドンドン惹きつけられていく。サイクリング言ったりなんだかんだしている内に急に場面が変わる。
 その法学科の元童貞君は、裁判所に出向くゼミ中に。その女性を裁判所でしかもホロコーストの被告として目の当たりにすることになる。

 彼女は生活のためにナチで働き、次から次へ来るユダヤ人を死地へと追いやる仕事をしていた。
 そのことについて裁判官は「貴方は知っていましたよね!?」みたいなことを聞く、彼女は
「次から次へと囚人は送られてくるのです。あなたならどうしますか?」
と聞く。
 このシーンが自分の中では最大のシーン。
 この女性はよぼよぼになり、自分勝手なことを言いだし、少しずつ見ているこっちの共感を失っていく。
 このシーン以後、感情は右へ左へゆさぶられ、後味の悪い映画になっていると思う。そしてそれがこの映画の伝えたいことだろうなぁと思うのであります。

 以前友達と話をしていて「戦争中に物奪うのはしょうがないやん?」と言ったところ「いや物を奪うのはいかんよ」と言われたことがある。
 これにはおったまげた。切腹文化のある日本は多少違うかもしれないけど、それでも個において正義より生が優先されるのは当然でしょう。そしてその過程で起こった罪ももちろん裁かれなければいけないが、それだけでいいのか。
 常に自分で問うていてもいいんじゃないかなあと思うのです。

映画『シッコ』マイケルムーア

 まず自分を戒める意味でも、悪いところだけを抽出して編集されたものを見るのは気を付けなければいけない。そんな前提をおいておいて。

 この映画は米国の医療制度の現状と、他国の医療制度の現状を比較する映画。
 米国では公的医療保険制度は加入条件が厳しく、多くの人は民間の保険に加入する。
 しかし、民間の保険は、既往症があると加入できなかったり、金額面で厳しく米国では5000万人が医療保険に加入していない。糖尿病があると入れないとか、民間のガン保険とかならともかく、医療保険自体に入れない。つまり糖尿病になったら全ての医療が保険外になってしまうということだと思われる。
 ある保険に加入していない男性は、指が二本飛んで、くっつけるのに中指は6万ドル、薬指は1万5千ドルの治療費。その男性は薬指だけをくっつけた。
 アメリカ人を苦しめるのだろうなぁと思ったのは、911の救助にボランティアで行った人がその治療費で苦しんでいる画。
 
 その一方で、イギリスやフランス、仮想敵国キューバ等の医療制度を実際にいって聞いてきたり。そこではもちろん無料。
 さりげなく描いていたけど、フランスがそこまでキチンと整備されているのは、政治的なデモがたくさんあるからだ。と言う説明だった。フランスでは政府が国民を畏れている。米国では逆。日本でもそうだと思うけど、金がない人は選挙に行かない。それは絶望しているから。

 まあそんな現状をかなり明らかになる。
 医療制度の米国の悪い面。諸外国のイイ面。を見るのは最適の映画。

 日本でも米国でも、政治家が金持ちを畏れすぎなのだろうと思う。金持ちってちゃんと話せば結構理解してくれる。税金もイヤイヤでもしょうがないと思って払う人がかなり多い。「少しでも税金負担減らしたい!」と思っているのは小金持ち以下。金持ちは心安らかに生活したいのだ。
 政治家を批判するとすれば、そういう金持ちの説得の努力を欠いているんじゃないかな。そこは最近のイメージだ。説明するまでもなく「批判されるだろう」と勝手に思っているんじゃないか。そして勝手に「税金下げよう」と思っているんじゃないか。
 いつのまにか映画の話じゃなくなってる。

 見るべき映画。必見必見。