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ノンフィクション『日本を捨てた男たち』水谷竹秀

 言い方は悪いけど「底辺」を除けるノンフィクションは面白い。その底辺を見て、優越感を感じてみる、という面は否定しない。
 しかし、「底辺」と思っている人の生活を見て「案外良いところもアル」なんて発見をしてしまうこともまた楽しかったりする。

 「あんな大人になっちゃダメ」と言われて育ったけど、「あんな大人」って、どんな大人なんだろう。

 この本は、「日刊マニラ新聞社」の記者である水谷竹秀さんが、フィリピンに来て困窮している日本人を取材したノンフィクション。
 大体は、女性に相手にされなくなってきたおっさんが、フィリピンパブで知り合った若い子に猛烈に恋をしてフィリピンへ行ってしまう。そのまま、フィリピンで金を使い果たしてフィリピンの子にも逃げられ、帰る旅費も、帰る場所もない、そんな日本人の話。いわゆるダメ男ばかりで、中には結構な稼ぎを持ち浮気一つなく生活していた男性が・・・という事例も。そこの奥様、気をつけなきゃダメですよ。と

 この外国で食うに困る日本人の事を「困窮邦人」というとの事で、昨今問題になってきているらしい。

日本外務省の海外援護統計によると、2010年に在外公館に駆け込んで援護を求めた困窮邦人の総数は768人。中でもフィリピンが322人と最も多く、2位のタイ92人を3倍以上引き離して独走状態・・・(P21)

 この圧倒的多くは、50代以上の男性が、フィリピンパブの女の子を追いかけてフィリピンに行く事例らしい。
 そのまま、当然のごとくその女の子にお金だけ吸い取られて、ホームレスになると。
 ある程度ちゃっちゃとあきらめて帰ってくればいいのに、そうならないのは、一つには、フィリピンは日本のように寒さで死ぬようなことも無いこと。また一つには、フィリピンではホームレスを助けてくれるやさしいフィリピン人がいることのようで。捨てられても、なんだかんだ、好きになっちゃうのかもしれない。
 キリスト教の教えも関係しているのだろうか。

 さらっと考えることは、自分にとって日本とフィリピンどっちが幸せだろうということ。
 貧乏な人にとっては、もしかしたらフィリピンのほうが暮らしやすいかもしれない。貧困層は食べ物を自分のお腹が空いていても分け合って食べるという。そして、心から笑っていると筆者はいう。(主観だけど)
 まーフィリピンも先進国化したら、日本と同じように、また、今でも富裕層は日本人とかわらないのかなとも。富がある場合は搾取を恐れ自分の財産を守ろうとする。富が無い人は、助け合って生きようとする。まー考えてみれば当然の事でしょうが。

 でも、ふと思いませんか。今の日本人が、本当におなかを空かせてしまったら、どうなるのか。元から貧乏なコミュニティーは貧乏なりに生きられるようになっている。しかし、富を知った社会が再び貧乏になったら。
 孤独死の話なんかと繋がってきますね。隣の家の人と話をしたことも無い。しょうゆさえ借りれないこんな世の中じゃ。ポイズン。

 もう一つは、日本人が海外に行って現地でホームレス化して、そこで迷惑をかけ続けていることを、大使館は無視していること。
 日本人が大使館に行っても、上記のような理由だと、帰る金も中々貸し付けてくれないのだそうで。
 大事な税金を、そんなことに使ってくれるな。が一論。そんな日本人が迷惑をかけるようなことさせずにさっさと連れ帰りなさい。が一論。かなと。

 まーなんだかんだ、書いてみましたが、この本の一番の興奮ポイントは、浮気もしない旦那が単身赴任先で急にフィリピンパブにはまり、これまた急に離縁を突きつけられた妻が、旦那に宛てて書いた手紙。全部載せたいくらい、なかせる文章。

あなたの心わからないなんて妻として失格。
だめな女房ですいません、

 浮気の挙句、妻にこんな事言わせて。まったく。この奥さんを捨てて、フィリピンにこの男は行ってしまったわけです。

 ちなみに、日本人女性が、フィリピン男性に貢ぐ話も載っていたりしますよと。

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