『若者殺しの時代』堀井憲一郎

 お久しぶりです。と。少し顧客の社長と飲む機会があるので、必要に駆られてネタ仕入れのために買ってみた。
 とりあえず、タイトルと内容は完全に乖離している本。普通に社会の変化を堀井氏独自のものさしで観測していく。

 携帯電話がどんな風に普及していったか調べるときどうするか。

 自分ならとりあえず販売台数の統計とか、新聞記事とか探しちゃいそうだけれども。
 この堀井さんは、月9のドラマでどこでどんな風に携帯が使われているかにより時代を探っている。。。面白い(P143あたりより)。
 最初に携帯を使用した月9ドラマは1989年1月の「君の瞳に恋してる!」の石田純一で、スポーツカーで中山美穂のマンションに乗りつけ、マンションの部屋の中山美穂と、車載電話を持った石田純一が見つめあいながら電話をするのだそうな。
 コレだけでも中々興味深い。

 目次を見ると、
第1章 1989年の一杯のかけそば
第2章 1983年のクリスマス
第3章 1987年のディズニーランド
第4章 1989年のサブカルチャー
第5章 1991年のラブストーリー
第6章 1999年のノストラダムス
終章 2010年の大いなる黄昏あるいは2015年の倭国の大乱
てな具合で、平成に変わった瞬間の年1989年から始まり、1983年から少しずつ現代に戻ってくる。

 最後は、タイトルに合わせようと無理な文章になっているけど楽しいのでオールOK!

 この本を読んでいて、印象に残るのは二つの年号、1983年と1989年。
・1983年アンアンが「クリスマスの朝はルームサービスで」というページ
・1983年に立てられた「1983」と言うラブホテルが大ヒット(P70)。男が好きな回転ベッドとかから、女性好みのシンプルな部屋のラブホテルへ
・1983年女性好みのテーマパークディズニー開園
色々な主導権が女性に移ったのが、このくらいの年がきっかけなのかもしれないですねと。
 バブルは、プラザ合意だとかなんだとかもちろんあるだろうけど、同時並行に「女性に貢ぐ」ことが盛り上がってしまったという変な側面があるのかもしれないねえとか。1980年代にコンビニも一気に普及したらしいけど、お茶や水が有料であることは、当時の男性陣には衝撃だったらしい。
 ちなみに、1983年後から所得税・法人税は減税され始める。

 そして1989年天皇が崩御される。
・2月13日リクルート事件でリクルート創業者・元会長の江副浩正が逮捕
・4月1日消費税施行。税率は3%
・7月23日宮崎勤逮捕(オタクへの社会的評価が急落のきっかけ?)
・7月23日(土井ブーム)第15回参議院議員通常選挙。自民党歴史的大敗により宇野宗佑首相辞意表明。
・12月29日 – 東証の大納会で日経平均株価が史上最高値の38,915円87銭を記録。これを最後に1990年の大発会から株価は下落へ転じ、バブル景気は崩壊へ。
もちろん悪いニュースだけ取り出せばそうっちゃそうなのだけど。
 こういう言い方は良くないかもしれないけど、天皇の崩御でテレビがそれ一色になり、日本人を冷静にさせたという効果はとてつもなく大きかったのだろうね。

 そして面白いオチとして
・1992年「のぞみ」誕生
こだま⇒ひかり⇒のぞみ
確かに、我々は1992年にはのぞみを失ってしまったんだね。だからこんな名前をつけた。

 以下その他。それぞれがそれぞれに色々な解釈や、流れが見えて面白い。どう解釈するかはその人次第(笑)
・1991年東京ラブストーリーで恋愛ドラマ世界が変わった
「24時間、好きだと言って」と叫んだ。セックスしよ、と女のほうから叫んだ。(中略)有森也実さとみ的人生を拒否し、自分を押し通す鈴木保奈美リカ的人生を選んだのである(P131)
・1991年樋口可南子と宮沢りえのヘアヌード
・1993~1997年ポケベル
・1997年ラブジェネレーションで、キムタクと松たか子が携帯を使う
・1997年の携帯電話普及

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