Monthly Archives: 8月 2011

『アラスカ物語』新田次郎

 数ある後輩の中でも最も熱い男の熱い勧めにより借りた一冊。熱いよ!
 明治元年、宮城県石巻町生まれの日本人としての安田恭輔、そして、アラスカで生涯を過ごしたエスキモーとしてのフランク安田の話。もちろん同一人物。

 実話ってんだから半端ない。実話だからこそ、親族はガンガン死ぬし、初恋の相手は親の権限で無理矢理別の人と結婚してしまったり。子供も死んでしまったり。小説何かよりやっぱり事実は辛いなー。

 医師の名家に産まれ祖父に溺愛されて育つも、7才で祖父を亡くし、14才で母を亡くし、15才で父を亡くす。父の死のタイミングが悪く、恭輔はいい年で引き取りてなどもなく、学校入学する前だったのでお前は就職しろ言うことで、菱の船会社に就職する。なお、自分より年上は医学学校に既に通っていたので、通い続け、自分より年下は、親戚に引き取られてやはり医者になったのであった。
 船会社に就職し、22の時にはアメリカ船に乗っており「やーいジャップ」といじめにあいながら(もちろんもっと辛辣)しこしこ働く。
 そんななか、アラスカでシーウルフ(海賊みたいなもん)を追いかけている内に、船が氷に閉じこめられる。さらに、備蓄されているはずの食糧がなぜかとても少なく、その疑い(途中で売り払ったとか)をかけられ、命の危機すら感じたフランク安田は、一人で吹雪の中救援を求めに行く。

 なんだこの人生。 » Read more…

『日本永代蔵』井原西鶴 訳・注 暉峻康隆

 井原西鶴たん「日本永代蔵」
 1600年代の金儲け話総集編。
  金平糖の作り方を発見するプロジェクトX型の話から、両替時にちょいと重さを誤魔化しちゃうような悪い金儲けまで色々はいっとる。あるいは、女に狂い贅沢に狂い金を失うような話も同時に入っておりますな。また僧への批判やお上への批判なんかも、きちんと織り込まれている。さすがにこの辺は解説を読んでなるほどといった感じですが。
 この永代蔵が出版されたと思われる1600年代後半は、出版ビジネスがようやくできてきて(井原西鶴が日本出版界初の売れっ子作家という話も!?)、お上からの出版に対する規制は厳しくなっていたそうな。そこで、評判に関わるようなモノは、ある程度伏せ字にして。名誉な話は実名が分かるような状態で書かれている。
 金の視点からみた小説は、極端にリアリティーがあって面白いですよね。特に江戸の話なんて最初から最後まで面白かったですわ。 » Read more…