Tag Archives: 映画評

『セッション』監督:Damien Chazelle

 つい先日「はじまりのうた」を見てきて、そこでこの作品の予告編を見て、あーみたいな―と思って見に参りました。
 デミアン・チャゼルという聞いたことのないような監督の「セッション」とう作品。
 予備知識なしにぜひ見に行ってほしいと思う、あの緊張感は映画館でしょ。エンディングは鳥肌たったよー。ちょっとした予想は簡単に裏切るいいラストです。こと、ドラムの音を楽しむ映画でもあるので、やはり映画館がベストと思う。精神的には疲れるけど、スッキリ映画館は出られると思うですはい。
 見に行く人は以下読まずいってらっしゃい。
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『6才のボクが、大人になるまで。』監督:Richard Linklater

 ビフォア・ミッドナイト等、会話だけなのに面白、ビフォアシリーズ監督、リチャードリンクレーターさんの映画『6才のボクが、大人になるまで。』見てまいりました。

 まずもって、この映画のもっとも肝であるのは撮り方。シネマトゥデイによれば

『ビフォア』シリーズなどのリチャード・リンクレイター監督がメガホンを取り、6歳の少年とその家族の12年にわたる軌跡をつづった人間ドラマ。主人公を演じた新星エラー・コルトレーンをはじめ、主要人物4人を同じ俳優が12年間演じ、それぞれの変遷の歴史を映し出す。主人公の母をパトリシア・アークエット、母と離婚しアラスカに行ってしまった父をイーサン・ホークが熱演。お互いに変化や成長を遂げた家族の喜怒哀楽を刻み付けた壮大な歴史に息をのむ。

20150208boyhood-poster 1年に数日撮影して、それを12年間続け、それを一本の映画にしたとのことで。映画の時間は2時間45分。単純計算で15分弱で一年間が進んでいく。
 6歳だった少年、お姉ちゃんがズンズン成長していく。髪型も体格も声色も激しい勢いで変わっていくので、見ていて同一人物が判別できないほど。
 一番に思う感想は「違和感がなさすぎる映画」という感じ。普通に近所の仲のいい友達の成長を短時間で見ているような。当然その時代に、その時代を撮影しているので、小道具もその時代をよく反映している。時代ごとのゲーム機や、初期アップルとマックブックや、ブッシJrとオバマなど等。
 そして、リンクレーターさんの、得意である、なんとなく面白い会話が相変わらず繰り広げられる。あー知り合いのオッチャンにこんなん言われたなあとか、あーこういう理不尽なこと言われて育ったなあとか。親の喧嘩こんな風に見てたなあとか。結構色々自分の子供時代を感じられる。で、その積み重ねで、いまこんな大人になったんやなあと。自分と重ねざるを得ない感じ。

 最後は、目の前で12年成長するのだから、映画の少年たちがまるで身内のような気分になってくる(笑)18歳になった時には、よくここまで成長したなあと感慨深い気持ちに。

 と、ここまで書いて、一緒に見た友達に言われた衝撃の一言「日本には北の国からがあるよね」と。
 北の国からはWikipediaによれば1981年に始まり、最後は2002年だったとか。21年の超大作ではないか。日本はさらに一歩上を行っていたか(笑)

映画『精神科医ヘンリーカーターの憂鬱』/Jonas Pate

 話は複雑で料理しながら見ていると、なにがなんやらになったので二回。
・自殺した人の親族の感情
・薬物依存
・成功者(ハリウッドスターとか)の憂鬱
とかかな。
 ベースは親族の死から逃げる、少女と精神科医の更正ストーリーと言ってしまえばいいのかな。

 主人公のヘンリーカーター(Kevin Spacey)が精神科医で、登場する患者が一人ではなく、
・おかんが死んでしまい非行少女になったジェマ(Keke Palmer)
・潔癖症天才社長パトリック(Dallas Roberts)
・セックス依存症と言い張るアルコール依存症ジャック(Robin Williams)
・(ちょい役の)ナルシストスターと、その嫁さんのケイト(Saffron Burrows)
と一杯来て、さらにここに来ない人、人気が出てきたけどいい作品が来ない俳優シェイマス、脚本家になりたいジェレミー、パトリックの秘書やら。それぞれ結構な意味を持ったキャラクターで、名前をここに書き出すだけで疲れた。

 カーター先生は、普段はハリウッドスターとかセレブ御用達の神科医。しかし、奥さんが自殺して、マリファナを手放せない状況。
 父親に少女の患者を診るように言われて、カーター先生こんなこと言っちゃう。
「きっと深刻な問題だよ、俺の手には負えない」
今のセレブな患者はどうやねん。ということで、どうにも今の仕事にも力が入っていない様子。

 このへんから多少ネタバレかもしれやせんので、見てみようと思う人は。
 面白いですよ。
 間を
 とり
 つつ
 つつ
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映画『ルビー・スパークス』/ゾーイ・カザン

 どうも。事務所の映画好きな後輩氏に「絶対先輩好きです!」と言われてみてみた映画。ふむ。
 ネタバレなんて気にしない(宣言)。

  処女作で大成功し、二作目が書けない小説家カルヴァンが主人公。人付き合いが極度に苦手で、精神科医のススメで理想の女の子を小説に書いていた。精神科医にかかっている直接的な原因は不明。
 とっさに夢に理想の女の子が現れ、わわわっと小説を書き、ある朝起きると小説に書いている女の子が実体化して現れている。さあ大変。そのヒロインの名前が「ルビー・スパークス」。ちなみに最初の夢に出てきたとき履いていたカラータイツがルビー色。
 実体化して現れたときには、下着に大きめのカッターシャツ(上着のみ)って、なんですかね。これ。最高です。

 序盤で、兄ハリーが、弟に小説に書いたまま(書き加えるとそのように変わる)の女性が現れた事実を理解した上で、

“For men everywhere tell me you’er not gonna let that go to waste.”
男として頼む、この奇跡を無駄にするな

と。なんつーか、男の最も醜いところを文章化された感じで心が痛む。
 兄的には小説を書き加えて巨乳にしたいばっかりのようだがw

 「自分の事しか考えない」「女性を理想化しすぎる」男性を厳しく皮肉る映画で、見ながら「ごめんなさい」と心で何度思ったか。
 予断だけども女性の書いた脚本かなーと思いながら見ていましたが。やはりそうで、いやそれ以上で、脚本は映画のヒロインでもあるゾーイカザンなのだと。主人公のポール・ダノは、映画を離れてもなんとゾーイカザンのパートナーだそうで。

 そんなこんなで「ごめんなさい」と思いながら見ているわけですが、さんざんやりたい放題やった挙句、心身の拘束から彼女の記憶をリセットした上で解放する。
 カルヴァンは打ちひしがれながらも、それを小説にし、復活し、なんやかんやで家族とのわだかまりも解消。ちょっと成長しました感をもった散歩途中に、また以前の記憶をなくしているルビーと再開し、やり直すところでお話終了。ルビーはカラータイツもはいておらず、読まないといっていた小説を読んでいたり。
 理想どおりの彼女じゃないけど、受け入れたという象徴なのかな。にしてはw

 至極面白いと思うけど。モテない男の最も駄目な思考と思う「自分なんかじゃ申し訳ない」ってのは書いて欲しかったかなw
 利己と利他がぐっちゃぐっちゃになるのが、人間の面白いところだと思うんだな。映画としては、男の「利己」が強すぎで、申し訳ない気持ちで一杯になってしまった。
 女性はどー見るんだろう。

映画『告白』監督:中島哲也 原作:湊かなえ

ネタバレなんて気にしない!

 憎しみってのはやっぱり、その人の人間らしさを映し出すという点で、非常に美しいですよ。松たか子と木村佳乃の美しき名演技を見られただけで大満足です。
 また、音楽の演出が憎いですね。

 挿入歌の Last Flowers – Radiohead これがたまらない。
 コンビニで店員さんのしゃべっている声は聞こえないのに、それに対応する木村佳乃の絶望の声だけが聞こえてくる。一切の雑音が排除された音の演出がめっちゃ心をゆさぶってきやした。

 中身的には、子供を殺された松たか子演じる森口先生が、その殺した生徒の牛乳にこっそりHIVに感染している血液を混ぜて飲ませる、ってなところから始まる。そのクラスの子たちには、人殺しであることと、牛乳に血液が混じっていることをも伝えられ、殺した子は当然苛められる。
 原作が推理小説ってなことで、それぞれがそれぞれの気持ちや事実を告白していくことで、事実がちょっとずつ明らかになっていく。そんなに目新しいことがあるわけではないけど。中学生の行き当たりばったりな思考が明らかになるのは、身に覚えがあるような。
 不安定な生徒が、より不安定になり、どんどん状況は悪化していく。

 この映画、母親から子供への愛だけが真実だという書き方がしてあるんだと私は思ったけれども(そーいう映画ではない。はずだがw)。多少いびつながらも。それを裏にしっかり「憎しみ」がこれでもかと描かれていて面白かった。

 エンディングも、結構好きだなー。あれ、最後おっかあは死んでないよね。メインの回路切っていたし、松たか子の最後の涙声は母としての声ですよ。本人は憎くても、他の母を傷つけるようなことができるような流れではなかったとおもふ。けど。どうかな。

『バーレスク(Burlesque)』

20140517Burlesque こーいう見るだけでストレス吹っ飛ぶような映画だいすきっすわ。ストーリーはありがちで、田舎娘がロスのクラブのTOPダンサーに上り詰めるサクセスストーリー。一方そのクラブは借金が払えずピンチ!どうやって店を救うんだ!
 アリ(クリスティーアギレラ師匠)はむっちゃ可愛いし、テス(マダムシェール)はむっちゃんこ魅力的やし。この2人の歌唱力をちょくちょく味わえるだけでかなり満足。

 この映画でオヤオヤすごいなと思ったのが、超序盤、アリが「この店はストリップですか?」と聞くと受付が「口に気をつけろ」ってな場面から始まる。プライドもって踊ってんだよって事だけど、この映画終始一貫して、みんな貞操観念がかなり強い。あくまでも性を売るわけじゃなくて、ダンスや歌を売るんやで!というプロ根性がこのクラブ、映画には終始流れていて、非常に見ていて気持ちがいい。

 あー検索してみる。マダムCherは、Believeの方なのね。いや、下記の映画内の中盤の曲のがいいぞ!私は負け犬ちゃうねん!私は立ち上がるねん!

ネタバレなんて気にしない『時をかける少女』谷口正晃

 身の回りでは大絶賛だった気がするようなこの作品。そんなにビビビンとこなかったなあ。仲里依紗はそりゃ可愛い。みんな見ていた気がするので、見ていた人が読む前提で以下自己満足カキコカキコ。ちなみに、筒井先生の原作も過去の映画作もアニメも全部みておりませぬ。

 どこまで原作通りなんやろか。
 2010年のおかん芳山和子(安田成美)は1972年4月にいるはずの当時の恋人深町一夫(石丸幹二)に会うため、過去に行ける怪しい薬を開発する。しかし、普通に交通事故をして娘の芳山あかり(仲里依紗)が、代わりに薬を飲んで過去に向かう。でもまちがって1974年2月の大学の理科の実験筆の溝呂木涼太(中尾明慶)の上に落ちてくる。
・なんで、おかんの意識が回復するかもしれない、くらいの理由で過去まで飛ぼうと思うか?
・1974年に大学の理科の実験室で、大学に関係のなさそうな映画監督を目指す涼太は何をしていたのか?
・おかんは記憶が残ってるからタイムリープの薬を作ろうとしたのか?無意識?
・どっちにしてもおかん、1972年に悲しい別れをして、1974年にも新(?)恋人ゴテツ/長谷川政道(青木崇高)をアメリカにいかしちゃうなんて、女として男前すぎる。いや、切なすぎる。あるいは、ゴテツは「二番目の男」という事で、妥協を皮肉に描いているんだろうか。
・こんな可愛い女の子に「お願いだから泊めて!」と言われて、なぜ断れるのか。(せめて知り合いの女の子の家紹介するとかようよう。)
・ゴテツや一夫みたいな女を平気でほっぽらかす輩がもてて、涼太や浅倉吾朗(勝村政信)みたいなのが報われないってリアルすぎて泣けますね。
・正直。いきものがかり苦手なんだ・・・。
・まあでもさ、ヒロインがかわいくて、ヒロインに恋する男が切ない結末ならとりあえず、映画全体がよかったような気持ちになるよね。 » Read more…