Monthly Archives: 1月 2015

Dove Real Beauty Sketches

 これはウルっときてしまった。FBIの捜査官の人が、似顔絵を描くのだけど、一枚は、描かれる本人の証言による似顔絵、もう一枚は、他人がその人を見た証言をもとに描いた似顔絵。
 同じ顔のはずなのに、出来上がる似顔絵は印象が全然違う。いや、確かに似てはいるのだけど。ぜひたった3分なので一回見てもらえると。

 ネタ元は、NHKのSWITCHで「広告はダサい\ウソだから」。と。
 まーでも商品やサービスと一緒に、人が抱える矛盾や葛藤を理解するきっかけになるとそれはそれで面白いね。いやちょっと重いかな(笑)
 

SF『アド・バード』椎名誠

 みんな大好き?椎名誠。
 ウィキさんからあらすじをいただくとこんな感じ。

二十一市に住む青年、安東マサルとその弟菊丸は、行方不明となった父が生きていることを知り、マザーK市への旅へ出る。世界はターターとオットマンの両陣営による改造生物を使った広告戦争の結果、荒廃しており、市外を一歩出たところには、何もかも分解して土に変えてしまう科学合成虫ヒゾムシ、鉄を食いつくすワナナキ、触手を持った動く絨毯のような赤舌、そして鳥文字を作ったり人語を話す広告用の鳥アド・バードといった、珍妙不可思議な生物たちがうごめく危険な時代だった。道中で出会ったキンジョーという名の生体アンドロイド(ズルー)と共に、兄弟はマザーK市へ向かう。
Wikipedia

 文末の解説によると1987年くらいから始まった連載のようで。
 ファミコンができたのが1983年。ちなみにディズニーが日本にできたのも1983年。なんとなく、こんな本の想像が生まれてきたという時代にも納得できるような。

 マザーK市は、気持ちの悪い広告や不出来なロボットに支配されていて、ホテルに泊まると、蛇口をひねっても、寝ても覚めても、そこらじゅうで宣伝広告。お金を払えば消えるには消えるが・・・。現代のネットはそんな感じだけど、どうか現実には来ないでほしい。
 外に出れば、虫が編隊を組んで文字を表し広告になったり、鳥が肩に止まって広告ワードを連呼したり、サルがシンバル叩きながら行進したり。でもって、その広告のための生物改造が行き過ぎて・・・。まーこれも、人の集まる都会では、そんな感じになってるっちゃなってるか。
 で、ひとしきり社会情勢を見学すると、急に物語が生き物の思考の中に寄り道したりもする。蚊喰いという生き物の思考に入って、宣伝用に動かすための電波に操られる様なんかを、書いてしまうのが面白く、なんというかお茶目なところ。

 基本、この物語はめちゃめちゃ怖い(SF自体が怖いものかもしれないけど)。完全な人間は序盤を除けば、基本マサルと菊丸だけで、他にコミュニケーションをとる相手は、ロボットやロボット化されてしまった人間ばかり。脳髄だけ取り出してロボットになっていたり・・・。それでも、マサルは少なくとも孤独を感じるような描写は少なく。それなりにロボットとの生活も楽しんでいるように見える。んー何って人間が自分しかいなくても、ロボット相手でも、満足してしまう可能性を提示されていること自体が怖い。そーいや、OSに恋するなんて映画も最近あった。そんなの、自分の脳みそ信じられなくなっちまう。

 椎名誠が想像を始めてから少なくとも30年から40年はたったわけだけど。この本ほど広告戦争は激しく進んではいないようで少し安心。そしてこれからも、それほど広告戦争は進まない感じもする。
 この本には広告に対する恐怖が描かれていて、30年前同様に、いま生きる私も広告派手になると嫌だなーと思っていて。思ったより世の中は良心を多少は保ちながら進んでいるかも。とも思ったのでした。いや違うか、こんな表だって広告していないだけで、裏から裏からこっそり洗脳されているのかも。現代は誠ちゃんが想像していたよりも、もっと怖い世界かもね。