Monthly Archives: 5月 2014

『PILOT』The West Wing/The First Season/Episodes1

 このドラマ一番最初の回。
 キューバ人が1200名いかだレベルの船に乗って、アメリカに向かっている。嵐によってかなりの数が死に、100名ちょっとがどうにかアメリカにたどり着き、亡命を希望している。
 それぞれが、メリットデメリットを語る中で、大統領がこう言う。

“They came through a storm.
The ones that didn’t die want a better life, and they want it here.
Talk about impressive.”

 このドラマは説得力のある言葉をシミジミと教えられる。いや、非常にシンプルで辛い人の目線に立って話をするということなのだろうと。いや、もちろん、これは諸刃の剣だけど、しかし、やっぱり人間、情(情けと書いて情と読む)が大事ですよ。うむ。

良くわからない憲法解釈変更の件

二つほど議論を見て
・安倍ちゃんの邦人が乗ってる船守ろうプレゼンは、憲法解釈を変えなくてもいける(個別的自衛権の問題?)。
・必要だからと言って憲法解釈は変えられるもんじゃない。
(必要か否かの議論を出す時点で、憲法自体を変えることを検討すべき)
・集団的自衛権を行使しないというのは日本だけ(自民)
・日本の憲法は超硬性なので、解釈は時代に合わせて変化すべき
・集団的自衛権は他国のために攻撃する。ということ(共産)
・あくまでも自衛権(維新)
・「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき」っての基準にならない(公明)
・集団的自衛権を行使する自衛隊は・・・戦力になってしまう(社民)
・9条2項に戦力は持たないと書いてある。自衛隊は戦力ではない。同考えても集団的自衛権は行使できない(共産)
・芦田修正によって、9条2項の戦力というのは「侵略戦争のための戦力」は持たない。という意味になった(維新)⇒なお、政府はこの解釈は採っていない。

—–さてはて—–
 なんか頭のいい人からスーパーへ理屈でやられた時のような感覚を覚える。素人から文句を言っても反論できるだけの材料はあるのだろうけど、なんかおかしい。
 国家権力の暴走を止める憲法と言う存在を、自分のYESマンばかり集めて国民を蚊帳の外において議論し、マルチ商法のようにめったに無いメリットだけ強調するプレゼンで納得させようとするおっさんに託せない。
 と2番組くらい討論番組を見て思った(少ない)

 国のあり方まで自分の貧相な頭でまとめられないけど。こー言うときに、戦争経験したじいさんたちにしゃしゃり出てきてほしいなと思う。まさに憲法解釈を作ってきたじじいたち。議論見ていて初めてしったけれども芦田修正。なぜ当時の自民党のおっさんたちは、食いつかなかったのか。
 こーいう弱っちい国の形を守っている理由はなんざましょ。

 過去60年の重みを、たまたま民主のヘマと景気上昇のノリとった議席で安倍氏が好き勝手にしてしまうのは、あまりにも、あまりにも。

国連憲章第51条〔自衛権〕
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国が措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。
国際法研究室

「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告書 平成26年5月15日

『キツツキと雨』監督:沖田修一

 面白かったですよー。主人公の木こりと、若者の映画撮影を通じたドタバタコメディである。
 ってな事以上は一切事前情報入れずに見たほうが面白いと思います。
 見るつもりの方は是非ネタバレ前に、レンタルやへ。



 木こりの 岸さん(役所広司) の奥さんは亡くなっているようで三回忌。さらに、息子 浩一(高良健吾) がいて中々仕事も続かずふらふらしていている。親子喧嘩して浩一が出て行ったところに、この気弱監督が現れ、ゾンビ映画を年上のスタッフに遠慮しながら撮っている。

 最初は監督が気弱にやってるもんだから、スタッフもやる気が無い。いや実際はスタッフのクリエイター集団は、監督が気弱で自己主張しないからやる気が無いんじゃなくて、映画が面白くなさそうなのでやる気が無かった。岸さんたちの尽力で、面白くなってくると段々やる気が出てくる。クリエイター軍団は少なくとも、面白いかどうかだ、と割り切っている感じがこの映画のクールな感じを出していると思う。

『バーレスク(Burlesque)』

20140517Burlesque こーいう見るだけでストレス吹っ飛ぶような映画だいすきっすわ。ストーリーはありがちで、田舎娘がロスのクラブのTOPダンサーに上り詰めるサクセスストーリー。一方そのクラブは借金が払えずピンチ!どうやって店を救うんだ!
 アリ(クリスティーアギレラ師匠)はむっちゃ可愛いし、テス(マダムシェール)はむっちゃんこ魅力的やし。この2人の歌唱力をちょくちょく味わえるだけでかなり満足。

 この映画でオヤオヤすごいなと思ったのが、超序盤、アリが「この店はストリップですか?」と聞くと受付が「口に気をつけろ」ってな場面から始まる。プライドもって踊ってんだよって事だけど、この映画終始一貫して、みんな貞操観念がかなり強い。あくまでも性を売るわけじゃなくて、ダンスや歌を売るんやで!というプロ根性がこのクラブ、映画には終始流れていて、非常に見ていて気持ちがいい。

 あー検索してみる。マダムCherは、Believeの方なのね。いや、下記の映画内の中盤の曲のがいいぞ!私は負け犬ちゃうねん!私は立ち上がるねん!

『ロートレック荘事件』筒井康隆

 どーも最近惹かれるのがこういう変な作家バカリで、刺激が足りていないのかもと思う今日この頃。昔はもっとほのぼの系を好んで読んでいたはずなのだがっ。

 期待に違わず、身体障害者を中心に据えた、変わったミステリー。ミステリーと言っても、ミステリーを使って、読者のみっともない思想をあらわにさせようという、あのおっさんのニヒルな笑いが見えそうな作品。
 本の中には、お屋敷に飾られているというロートレックの絵もカラーで掲載されていて、ちょっとした美術館気分も味わえる。

 いっちゃん最後の主人公の言葉なんてのは、かなりのカス人間ぶりが、結構心に響いたりして。これにガチで感想を書き始めると、結構精神的どツボにはまってきそうなので、とりあえず安心して誰かと話をする時まで自主規制(笑)

『レオ・レオニ 絵本のしごと』刈谷市美術館

 刈谷市美術館の『レオ・レオニ 絵本のしごと』という美術展に行ってまいりました。
20140504leolopnni
 レオさんは、1910年オランダ生まれのユダヤ人グラフィックデザイナー。30才手前でユダヤ人であるためにイタリアからアメリカに亡命し、49歳の時に『あおくんときいろちゃん』で絵本デビュー。最初は電車で退屈する孫に、切り絵で物語を作って聞かせたところからだとか。

20140504leolopnni_peche どれも明確なメッセージ性のある作品ばかりで、周囲に溶け込みきれない気持ちや、自分には何か足りないんじゃないか、というような自意識つーか、自分をどう理解するか、といったところに訴えかけてくるような話が多い。最終的には、自己を肯定する術を教えてくれているようで、温かい気持ちになる。もしかしたら自分がずっと飢えていたものかも。
 でもって、さすがグラフィックデザイナー。色彩がとても美しい。そして、個人的に一番キタのは、背景への執着。絵本なので、画面内の情報はシンプルでも、地面や背景の植物は必ず変え、かき分けているのが印象的だった。
 抽象的ながら、よく地面や植物を表していて物質への愛を感じる(笑)

 印象に残っているレオさんのコメントが「単純なものを作れば読んだ人がそれぞれの人生に合わせて理解するので、単純に越したことはない」みたいなもの(正確に覚えとけよ)。この⇒のペツェッティーノに至っては、必要最低限の塊だけで物語が進んでいく。
 ねずみも数多く使われていて、個人的な印象だけど、子供が感情移入しやすい対象なんだとろう(小さくて、ちょろちょろしていて)。
 レオさんの本の多くを翻訳している谷川俊太郎先生が、レオさんの「意味が伝わらなきゃ意味がない」みたいな言葉に対して、「詩では勘弁してほしい」とコメントを寄せているのには笑ったけど、レオさんは、読む人に明確なメッセージを伝えないと意味がないと考えているようで。ちょっとユダヤの方っぽいなと勝手な偏見。

 そーそー彼は小さいころは、外で遊ぶというよりは、瓶の中に植物を入れ、箱庭的なものをつくっていたそうで。解説曰く統制可能な世界を好んだのだと。ちょっと説教臭くて、おせっかいな感じがとても気持ちのいいレオさんでした。

『食道楽』村井弦斎

 一冊読み終えて感想書くと、感じ入ったポイントとか忘れてしまうので(ヲイ)、ちまちま書く方向に方針転換。

書画や骨董の鑑定に長じて千年以前の物も立ちどころに真偽を弁ずると威張る人が毎日上海玉子の腐りかかったのを食べさせられても平気でいる世の中だもの。古い書画を鑑定する智識と毎日の食物を鑑定する智識といずれが人生に必用だろう、世の中の事は多く本末軽重を誤っているからおかしい。
上巻P121

 明治村のコロツケの作り方が、明治発刊の食道楽という本に書いてあるというので、ちまちま読んでおるわけで。
 この文章、実に明治の空気が出ている感じがしやしませんかと。外部から入ってくる知識に貪欲で、活力のある時代。

 ちなみにこのあたりは、卵について熱く語られている所で、美味しくて新鮮な卵の見分け方が書いてある。(明治の情報ですよ!)
1.殻がテラテラ光らない卵がいい
  少しも光沢のないちょうど胡粉を薄く塗ったようなものが新しい。古くなると胡粉のようなものが取れてくる。
2.薄い赤の卵より白の卵がいい
 薄赤い卵は肉用の鳥、白い卵は産卵用の鳥
3.受精した卵よりも受精しない卵が、味も日持ちもいい
 交尾しなくても鶏は卵を産むそうです。が、雄がいないと、雌の気がたってくるようで、雄がいて、なお受精していない卵が上等だそうです。受精しているかどうかは、割ってみるとわかる。黄身の上に小さな線がありこれが胎盤で、それにカラザが繋がっていたら、受精している。繋がっていない場合は受精していないんだそうだ。

 粉のところ意外は現代には役にたたない気もするが。