映画『精神科医ヘンリーカーターの憂鬱』/Jonas Pate

 話は複雑で料理しながら見ていると、なにがなんやらになったので二回。
・自殺した人の親族の感情
・薬物依存
・成功者(ハリウッドスターとか)の憂鬱
とかかな。
 ベースは親族の死から逃げる、少女と精神科医の更正ストーリーと言ってしまえばいいのかな。

 主人公のヘンリーカーター(Kevin Spacey)が精神科医で、登場する患者が一人ではなく、
・おかんが死んでしまい非行少女になったジェマ(Keke Palmer)
・潔癖症天才社長パトリック(Dallas Roberts)
・セックス依存症と言い張るアルコール依存症ジャック(Robin Williams)
・(ちょい役の)ナルシストスターと、その嫁さんのケイト(Saffron Burrows)
と一杯来て、さらにここに来ない人、人気が出てきたけどいい作品が来ない俳優シェイマス、脚本家になりたいジェレミー、パトリックの秘書やら。それぞれ結構な意味を持ったキャラクターで、名前をここに書き出すだけで疲れた。

 カーター先生は、普段はハリウッドスターとかセレブ御用達の神科医。しかし、奥さんが自殺して、マリファナを手放せない状況。
 父親に少女の患者を診るように言われて、カーター先生こんなこと言っちゃう。
「きっと深刻な問題だよ、俺の手には負えない」
今のセレブな患者はどうやねん。ということで、どうにも今の仕事にも力が入っていない様子。

 このへんから多少ネタバレかもしれやせんので、見てみようと思う人は。
 面白いですよ。
 間を
 とり
 つつ
 つつ

 ちょっと変だなと思うのは、カーター先生の奥さんや、ジェマのお母さんは自殺なわけだけど、その理由に近い部分は、意図的になんだろうけど全く排除されている。カーター先生やジェマが「私のせいかも」みたいに悩むシーンさえない。多少でもその自殺の背景を語ってくれると、カーター先生やジェマに感情移入していけると思うのだけど。そこは残念。
 その代わり、その他で自殺を諮る人がでてくる。が、やはり積極的な動機は提示されない。「自殺する理由なんて他人がわかるわけ無いでしょ」という、考えは流れているように思う。で、それこそが残された人の苦しみなのだと。

 少し精神科医をバカにした感じはあるかも。どんどんそれぞれの心の闇は解決に向かっていくけれども、カーター先生は大して何もせず、それぞれが自分で克服していく。そーいうスタンスは好きかもしれない。
 誰かが積極的に「介入」するわけでなく、自然な時間の流れが解決していく。そんな簡単じゃないよと、映画に対して言いたい気もするけど。

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