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小説『氷点』三浦綾子

高校生の頃に読んだ三浦綾子の「氷点」のなかに、「包帯を巻いてあげられないのなら、その人の傷に触れてはいけない」というとても印象的な台詞がありましたが、鳩山氏はそれを平気でやっている。

 という、石破茂氏(自民、元防衛大臣)の発言を元に、ちょっとした議論をしていた。
前後関係が分かる原文はこちら⇒石破茂オフィシャルブログ「自民党の責任」
 で、どうしても真意がつかめないので、「氷点」を読んでみることにした。
 内容はざくっと以下のとおり


 えらいものを手にとってしまった。

 辻口病院院長啓造の目線を中心として書かれた作品。
 啓造の妻夏枝が病院の医師村井から口説かれている間に、娘のルリ子が佐石という男に殺される。佐石は牢獄で自殺し、啓造は娘が殺されている最中に妻と村井と会っていたことに憎悪を抱き、やがて娘が殺されたことを一緒くたにして、怒りをぶつける相手を夏枝としてしまう。
 それから49日が経とうかという時、その犯人佐石の娘が、知人の病院にいると言うことを知る。同じ頃、避妊手術を受けていた妻が「娘が欲しい、どこかで可愛い女の子を引き取ってきてくれないか」と提案をする。そこで、啓造は、妻にはだまって犯人の子を育てさせ、後で暴露して妻を徹底的に苦しめてやろう、と考え犯人の子を引き取る。
 妻は女の子を引取り、母性愛全開で娘を育て始める。啓造は、男にはわかり得ない妻の母性愛に恐怖心を抱き、かつ、犯人の子という事実に思い悩みながら、物語は進んでいく。

 ここまで読んだ。この小説はすごいわ。こんだけ読んだだけでもしんどいと思うけど、中身は一人一人の描写なんかも、犯人佐石の経歴とかいいね、しっかりしていてかなり面白い。
 やっぱり人は醜い部分こそが美しいし、人間らしいところだ。そこに目をつぶっちゃー面白くないな。
 結構読みやすいので、6~8時間くらいあれば上下巻読めるんじゃないかな。時間を取って読むと、非常に色んな事を考えさせられて良い。
 ってかこれを高校生の時に読んだ石破さんってのは、やっぱりすごい政治家だわ。この考えを持ちながら防衛大臣をできるってのは脅威のバランス感覚だ。