あけおめございます。
例のごとく帰省中に読んだ本。
東野圭吾は、あまりにもみんなが読んでいるもんで逆に読まないようにしていました。が、結局勧められたので読んでみましたよと。
たかだか、国民総背番号制なんてのが紛糾する、意味不明な日本に住んでいるわけですが(んなもんちゃっちゃとすればいい)。その中である意味こーいう警笛本を出すというのは、東野さんも狙ってるのーなんて思うわけです。
ところで、警察って今どこまで捜査の力をもっているんだろうと、気になっちゃったりもする本です。
いやはや。面白い本でした。やっぱし人物描写はもうちょっとほしいなーなんて欲張りにも思いますが、テーマ設定とかは極めて考えさせられたし、中にちりばめられているメッセージもスキ。何よりも読み心地がすごくいい。
いやー450ページくらい合った気がしますが、さらっと読めるのでお勧め。
以下多少ネタバレ
DNAのデータベースを作って、犯罪に役立てようという、結構現実にあってもおかしくなさそうな話が題材。
主人公は刑事で、踊るのパロディみたいな場面もあって面白い。
この小説で個人的に最も面白かったのは、神楽という一番メイン人物の少年時代の話。この神楽さんが、一番丁寧に人物の背景を解説してある。
神楽少年の父親(神楽昭吾)は陶芸家だったのだが、番組の企画で、ロボットが作った器と自分が作った器を見分けられなくて、自殺
一体、人間と機械の違いは何だろう―そんなことを考えるようになった。構成している物質が違うということ以外に、根本的な違いはあるだろうか。
心が存在するということか。では心とは何なのだ。脳という物質が作り出した、行動をコントロールするプログラムに過ぎないのではないか。その証拠に脳が故障すれば、精神にも支障をきたす。(P89)
てな流れで、遺伝子の研究に徐々に傾斜していく。
で、なんだかんだとやっていくなかで
どんな芸術作品でもデータ化は可能かもしれない。事実、神楽昭吾の作品はコンピュータとロボットによって再現された。だがそんなことに大した意味はない。作品もデータに過ぎないということなら、そのデータを生み出したものは何かと言うことこそが重要だったのだ。(p371)
どんな作品もやっぱりなんだかんだ製作者の顔が見えたほうが楽しめる。どーいう経緯でどーいう心境のときに作られた作品なのか。
骨董品なんてものは、やっぱりストーリーあってこそじゃないですか。誰が、いつ使っていたかで、一つのペンでも価値が変わる。
この神楽の心境の変化を見るだけでも、読んだ甲斐があったなと。「プラチナデータ」が何かと言うことも十分楽しめたし。
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