Monthly Archives: 11月 2012

アダムとイヴ、エデンの園⇒『アダムとイヴ』岡田温司

 挿絵が楽しそうなので、衝動買いしてしまった一冊。世界で最も有名なカップル「アダムとイヴ」。この2人がどう歴史的に、また、画や彫刻を持って美術的に解釈されてきたのか。
 結構面白くて、

  • アダムは両性具有じゃないと話が成り立たない?
  • リンゴを食べたことは人間にとって良かったのか悪かったのか?
  • 「エデンの園」はどこにある?
  • アダムとキリストの関係は?
  • 一角獣の起源は誤訳・・・

 いろいろ興味深い話題を提供してくれます。
 でもって、こういったそれぞれの自分勝手な解釈を見ながら、「あいまいな表現を自分の「理屈」に当てはまるように解釈する歴史」こそが宗教そのものなんやなと。そのある意味での滑稽さを楽しむには最適やなと。まーもうちょっと賢そうに言うなら、その時代の要請を移す鏡なんでしょうなと。

 と以下だらだらと書くつもりだけれども、その前にエヴァンゲリオンの話に。
 エヴァンゲリオンが旧約聖書的な用語を持ってくるのは、「人間特有の悩み」を描く中で、一つの答えとして「じゃあ、人間が生まれる前の世界に戻るか」という提示をするための道具に過ぎないんってことなんじゃないかと。だから物語での用語の使い方自体には象徴的な意味しかもたないと。
 それをエヴァのファンが厳密な意味や歴史的な解釈と関連付けさせようとしている様は、まさに宗教ができる瞬間ではないかと、面白いかも。

 以下備忘録的に、章立てに沿って特に興味深かったところだけ。
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榊原紫峰 in this beautiful world

 何はともあれ、榊原紫峰(1887年8月8日 – 1971年1月7日)という画家の「青梅」っちゅう作品を見ていただきたい。

 鳥取の足立美術館というところに、行ったわけなのですが、まーとにかく榊原紫峰という方の作品が素晴らしかった。
 このちっこい画像ではとても伝わらないけれども、幹がすっごいしっかり書かれている。血管の浮き出た様はマンガでも、写真でも、絵であっても、異様なエネルギーを感じるもんだけど、植物はソコかと。でもって幹によく付いているコケや、病気のような後、育ってきた過程が目に見える傷なんかも非常に緻密。葉っぱに隠れて日が当たらない葉っぱなんかも!
 会社で行ったツアー旅行だったので、あまり時間はとれなかったけれど、榊原紫峰に張り付いていた。

 美術館でふと耳に入って驚いたのだけど、この「青梅」という作品は40歳前に書かれた作品。このほかにも20代前半の作品が数多く収蔵されており、若いころの作品でもびっくりするほど植物が克明に書かれている。鳥なんかも多いけど、年をとるほど正確に、美しくなっていく。ちなみに、うっとおしいほどの幹表現は、だんだん落ち着いてくる(笑)
 また、この榊原紫峰は京都生まれの戦前戦中戦後を生きた人でもあるわけで。本やらなんやら見ていると、文展やらの派閥争い(?)に巻き込まれた一人でもあるようで。年齢やら時代やら、そんなところも読み解けたら面白いだろうなあとも。
 また、お気に入りの作家を見つけてしまった。

 これならいつでも見に行きたい。誰かまた一緒に行きましょうぞ。実家が近いので宿は無料だぜ(笑)

 自分の話だけれども、私は若冲にしても、宇多田にしても、ごちゃごちゃしたものがすきなんだなあと思う。そしてできれば、ごちゃごちゃの全てを理解したい。いやアホなので無理だけど。
 色々なものの関係性の中で「何か」は一時的に存在するのであって、どれが主役ともなく、全ての中で全てが美しい。そーいう絵を書く人が好きだなと思ってみていた。葉っぱは虫が食われていて初めて落ち着くし。欠点こそがモノの美しさに違いない。そぎ落とした美しさはまだ理解できないのかもしれない。
 憧れじゃなく愛なんだよなあ。

 Beautiful World っつうのは、Love Psychedelico の新曲から拝借させていただきやした。
 もっと美しきこの世界を楽しもうじゃないですか。

屁理屈の技術

 2012年11月10日横浜でディベート大会に参加してきました。

 屁理屈というものの凄さをしみじみと考えさせられた一日でした。屁理屈って相手も想定していないから、感情的に間違っていることはわかるんだけど、案外きちんと反応しきれないですな。

例題)プリンを買うべきか否か

・多少無理があっても、相手が想定もしていない観点から攻撃する
例)プリンを買うことによって店主が助かる
・相手の常識的な反論には、原理原則を限定的に使って譲らない
例)他人を助けることはいいことだ。聖書にも書いてある。プリンで家計は破綻しない。プリンで健康は壊れない。

 で相手が、「店主は本当に助かるのか?」と議論の中に入ってきたら、ディベートはこっちのペースになる。
 「ふざけんな問題はそこじゃねーだろ」と言えないと。

 まーディベートは「ゲーム」なのでこれでいいんだけど、やっぱり真摯にメインの内容、論点で議論を深めたいよなあと。敗者の弁なのでした。
 以下はもうちと内容に。

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