Monthly Archives: 11月 2009

『密やかな結晶』小川洋子

 この島から最初に消え去ったものは何だったのだろうと、時々わたしは考える。

  この小説の舞台となる島では様々なモノが消滅していく。例えば鳥が消滅する。消滅した後、空を飛ぶ鳥を見ても『鳥という言葉の意味も、鳥に対する感情も、鳥にまつわる記憶も、とにかくすべてを』失ってしまう。そして皆が存在することが耐えられずに鳥に関するモノを処分し始める。
  バラ、写真、カレンダー様々なモノが消滅していく。
 
  その一方で、消滅がおきない少数の人もいる。
  この特別な人達は「秘密警察」にいつも手配されていて、見つかると引っ捕らえられてしまう(この島では記憶狩りという)。だからこの島では記憶を保持していられる人達は、隠れて過ごしている。
 
  主人公のお嬢ちゃんは、その消滅がおきない男性R氏を、家の秘密部屋にかくまう。記憶を失っていく主人公と、記憶が残り続けるR氏の奇妙な生活が静かに繰り広げられる。
 
 ちなみにお嬢ちゃんの職業は小説家。小説も消滅してしまうのだが・・・。

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例のごとくネタバレ嫌な人は以下みないように!
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  この小説の中で、記憶を無くしていく主人公達は、「消滅」に対してさして恐怖もなく、「消滅」を受け入れていく。しかし、その主人公達の「記憶」を何とか呼び戻そうとR氏が必死になっている姿は見ていられない。こっちの世界でもよく見る光景じゃないか。
 
  秘密警察という存在自体もかなり謎で興味深い。
  完全な独裁組織であり、彼ら自体がなんのための記憶狩りをし、彼ら自体は消滅とどう向き合っているのか。
 
  つい最近、「記憶力がないのが悔しい」なんて話をしていた。
  この話をしたのは小説を読んでいる最中であったけど、間違いなく影響があったんだと思う。客観的に記憶が失われていく様を見るのは非常に怖いモノがある。
 むっちゃこえーよこの小説。

テイク 5

ハム速「あの映画を夢見て部活作ったら色々と青春だった」
 これ読みながら無性に悲しい気分になったり。

 この文章の中で「take five」という曲が紹介されていた。ジャズの名曲のらしく、5拍子の曲なのだそうだ。聞いてみればなるほど5拍子だ。

 wikiによると「take five」というのは

 曲名の「テイク・ファイヴ(Take Five)」は、「5拍子」と「(5分程度の)休憩をしよう」という略式英語の2つを掛けたものである。その名のとおり、リズムは4分の5拍子(4分の3拍子+4分の2拍子)、曲の長さは5分24秒である。

 ちなみに、このタイトルに引っかかったのは、宇多田ヒカルのアルバム『HEART STATION』に「テイク 5」という曲があったのからです。
 なるほど歌詞を見てみると意味もわかるってもんで。
 曲自体は4拍子だけど。
 アルバムでは曲の尻が突然プッツリ切れて「ぼくはくま」が流れ始めるのだけど。その意味もやっとつかめた。

 なお原曲、英語の歌詞もカッコイイ。
 和訳ついでに、クロールは5/4拍子で泳ぐといいとか書いてあるページを発見。

さ、勉強勉強。

blogとtwitterとmixiとMessengerと

5分で書く。(結果10分かかった。)

いろいろんなweb上のツールがでてきたけど、
いろいろ使っていて自分の傾向というのが見えてきた。

●●●自分の中でコミュニケーションは2種類ある

●公の場で、公な議論や情報交換をしたい。
今Twitterにはまっている。
blogはこれからも書こうと思う。
自分の考えや意見は、できるだけ多くの人に見て貰って、
批判なら批判してほしいと思う。

●ある程度関係のある人と、私的な議論や情報交換をしたい。
その代わり、個人的に会ったり電話したりメールのやりとりをしたりメッセンジャーで話したりということは、今でも重要だと思っている。
近い人とは公に話すには抵抗があるような話をしたい。

でもって、その中間的なものには、全く興味がわかないのだ。
その典型がmixi等のSNS。
閉じたコミュニティーで、文章を公開することに全く意欲がわかない。

中途半端にプライバシーの関わる会話はできないし
オープンな場というのはやりにくくて仕方がない。
極端には時間の無駄とか思っちゃうのでした。

自分まとめ終わり。仕事イッテキマ。。。

爆問学問『「時間」とういう名の怪物』 一川誠

年を取ると時間の流れを速く感じる。
というのは、代謝の問題であり老化現象だ。
というのは聞いたことがあった。

ところで
一日24時間という刻み方はここ150年くらいの話らしい。

本来は人によって、朝や夜や、やってることによっても
時の流れ方は違う。

それを24時間60分60秒という時間で区切っているのは
そうとう不自然なことかもしれないねぇ

大きさの違うみかんを、ぎゅうぎゅうに並べようとしている
そんなイメージを受ける。

ところで
日本人は時間にきっちりしているようだけど、
今は携帯電話のおかげで少しルーズに為ってきている。

例えば「大体10時頃栄ね」で集まれるわけだ。

だから何だって話だが。

たまには自分の「時間」を眺めてみなきゃいかんね

試験の結果発表まであと少しである。
あぁ。

『できそこないの男たち』福岡伸一

amazonより

「生命の基本仕様」―それは女である。本来、すべての生物はまずメスとして発生する。メスは太くて強い縦糸であり、オスはそのメスの系譜を時々橋渡しし、細い横糸の役割を果たす“使い走り”に過ぎない―。分子生物学が明らかにした、男を男たらしめる「秘密の鍵」。SRY遺伝子の発見をめぐる、研究者たちの白熱したレースと駆け引きの息吹を伝えながら「女と男」の「本当の関係」に迫る、あざやかな考察。

 この本は2つの意味で面白いと思う。
●一つには、遺伝子から女性、男性が発生してくる過程が解るという科学的興味。
●もう一つには、遺伝子や性を巡っての成果を競い合う科学者のドラマ。
 この人の文章はほんに面白い。私的には後者が特に面白かった。

 最初は非常に高精度なレンズを作り、最初に精子を見つけたレーウェンフックの話から始まる。このおっさんが最初に精子をレンズを通して見たのは1677年。
 ちなみにフェルマーのおっさんが没したの1665年らしい。この時代は科学とかが急激に発展してる気配がしてワクワクする。

 次に1905年、ネッティー(米国)という女性がチャイロコメノゴミムシダマシという昆虫を解剖し、精子や卵子、体細胞をいろいろと観察していく中で、

メスの体細胞には20個の大きな染色体が存在する。オスの体細胞は19個の大きな染色体とひとつの小さな染色体が存在する.

 という事を見つけ、論文として発表する。
 この20個目(こやつらは少々数が少ない。)の大きい染色体と、小さい染色体が、オスとメスを分ける。そんな事を見つける。(X染色体,Y染色体)
ここまでたどり着くドラマを読むだけでもゾクゾクくる。

 そして一気に1900年代後半。
遺伝子が読まれる様になり、「オスを決定する遺伝子」を巡って競争が始まる。
そしてSRY遺伝子の話へと入っていく。
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