Category Archives: 画を見る

Storm in a Teacup/AKB48ドキュメントの感想など

 色んなところで話題になるので見てみました。
 たかみな氏カッコいい。篠田氏美人。前田氏・・・ふむなるほど日本男子はこういう子が好みなのか。

『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』
 事前評を聞く限り、そうとう激しい(戦争だ!)と聞くので、えらい映画で号泣だろうなーと思ってみたのですが。案外平然と見終えてしまった。
 もっと、人間不信になったり、人間としての尊厳をバキバキにやられるような場面が写るのかと思ったら。締め切り前のデスマーチという感じだなというのが素直な感想。
 いや、もちろん裏ではよっぽど精神的にきつい色々なことがあるはずだ。ってか大場美奈氏が飲酒・交際(笑)で謹慎みたいなのは盛り込まれていた。帰ってきたときの「ザケンナボケ」と言う吹っ切れた顔は中々素晴らしかった。
 個人的にはもっとこういうのを・・・(悪趣味)
 ちなみに、被災地とAKBを交互に写すもんだから、非常に恐縮してしまった。同じ現実なので、整理をつけて捉えないといけないんだろうけど、中々AKBへの感情と被災地への感情をごっちゃにされると大混乱が起こってしまう。

 さてさて、映画中印象的だった言葉に選挙やらじゃんけんの後「勝てませんでしたが、正直ほっとしました」というものが。同じ趣旨の言葉を映画中別々の人から3回くらい聞いた気がする。
 彼女らにとってこれらの勝負をしている意味は「場の確保」なのかもしれなと感じましたがいかがでしょう。
 AKBの上位であるという所属がほしいのであって勝負に勝ちたいわけではないんじゃないかという印象を受けた。団地コミュニュティーに留まるためなら火曜サスペンスだって起こりえるアノ感じ。
 男性が勝負事をして「負けてよかった」なんてことは、苦し紛れの言い訳以外ではまーないのでは。この辺り性差で片付けてしまってもいいでしょうか。(どっちが良い悪いという話ではなく)

 もう一つ印象的だった言葉は、被災地を訪れて「歌で人を幸せに出来ることが分かりました」的な発言。
 いや、今までも十分擬似恋愛を提供していたわけだが。そんなのは承認欲求をちっとも満たしてくれていなかったのだろうか。
 落としたパンに蟻が群がっても興味がわかない。しかし、可愛い猫にパンをあげて初めて「ああ動物にパンをあげるって素晴らしい」と感じた。
 AKBのファンは傷つかなかったのだろうか。と素直に。

 また、若い女性の集団行動ってのはそんなに目にする機会はないわけで、そういう意味でも興味深かった。あちこちで泣く女性あれば、母性を発揮して抱きしめる女性あり。なんか複雑だなと。この中にも冷静に振舞っている人と、そうでない人といるんだろう。
 男性集団だと、母性なんてないので全員ガキで、洋画ならロッカーをぶんなぐり、みんなでウワーンと泣いて、翌日はハッピーとなっているのかなと。

 そして秋元康。

安藤忠雄の仕事の理念に「多作が新しい発見につながる」というものがあり、秋元康も並行して100以上の仕事をこなすらしいので、二人の仕事術をつなげる一番の接点は「多作」という部分だと思います。
GOETHE 2012年5月号の安藤忠雄と秋元康の対談が面白かった/Future Insight

 この人にとってAKBは数多く手がけた作品の一つでしかないのだろう。

成功するためには、何が必要か?
………運です。
僕はこの38年間、スターと呼ばれる人たちを見て来ました。
僕も何人もプロデュースして来ました。
そこで見たものは、運です。
どんなに実力があっても、
運がないとスターにはなれないのです。
じゃあ、努力をしていても無駄なのか?
努力は報われないのか?
そんなことはありません。
努力は必要です。
言い方を変えれば、
努力は成功するための最低条件です。
みんな、必死に努力して、
じっと、チャンスの順番を待つしかないのです。
秋元康がgoogle+で、AKB48の「非」選抜メンバーに贈った言葉が名言/attrip

 秋元康は彼女らを不幸にする気もなければ幸せにしてやる気もないのだろう。
 新大陸を目指し色々な船を出す。乗っかってきた子達と旅に出る。そんな船を沢山出し、たまに新大陸を見つけ出す。そして、彼の作る船は数をこなすことで自然と精度の高い船になっていく。
 そして彼の船にはより素晴らしいクルーが目指してくるようになる。

 AKBの苦労の姿と言うのは、お互いに納得の上の大人同士の契約なのだろうと。だからこそ、当初思っていたよりも辛い気もしないし、かわいそうとも思わなかったというか。

 外からコップの中の嵐を見るのは気楽なもんで当事者は大変だ。しかし、コップの中で必死に戦わねばならんこともあるわけで。こんなガキンチョどもがやっておるのに負けてはおれんなと。最後はやっぱり思うわけです。

絵本『もっと知りたい伊藤若冲』佐藤康宏

 伊藤若冲この人も、道なき道を作った人だなあ。
 新しいことをしようとしているわけではなく、ただ満足できないところにこだわり続ける。

いまの画というものは、みな手本をもとに描くばかりで、
いまだ物を描けたものを見たことがない。
そして技術によって売れることばかりを求めていて、
技術以上に進むことができたものがない。
自分が人と違っているのはこの点だけなのだ。
(伊藤若冲)

 私は絵についてはさっぱりピーマンですが、そんな中で直感的に恋した画家。美しく活き活きとした絵を描く。動植物の命がコノ人の絵にはそのまま入っている。
 最初に若冲を見たのは、友人に誘われた若冲展。ポスターに宇多田ヒカル/SAKURAドロップスのPVにもご出演の象が載っていて興味がわいたのでイソイソとでかけて、見事に落ちた。なお、この象については、後に「樹花鳥獣図屏風(静岡県立美術館蔵)」の象で、若冲に関連はあるが若冲の絵ではないということを知る。

SAKURAドロップス/Utada Hikaru Official YouTube Channe
樹花鳥獣図屏風
↑樹花鳥獣図屏風

 伊藤 若冲(いとう じゃくちゅう、 正徳6年2月8日(1716年3月1日) – 寛政12年9月10日(1800年10月27日))
 京都生まれ京都育ち生涯独身。絵を描きながら、家業の青物屋を経営する。40歳のときに弟に家業を譲り自分は絵に傾倒する。1788年(天明8年)73歳の時に、天明の大火で家を失う。一時大阪に居候したりしながらも京都に戻り、絵一枚を米一斗(一斗缶を思い出すべし)で売り歩き、「米斗翁」などと名乗りながら1800年に亡くなったそうな。
» Read more…

TPPとはなんぞや。

2011年11月20日12:00 ちょいと訂正
 お久しぶりブログDA-

 事故的にNHKスペシャル「徹底討論TPP」を録画してしまったので、それを見ながら書いています。なお、NHKの議論は農業に力を入れすぎる嫌いがある。

 TPPの議論というのはわが国の行く末を考える上で、大事な議論な気がする。TPP以上に国の形についての考えを示唆しているような。他所へのコメントで「コスモポリタニズム」という言葉を頂いたけれども、国とはなんだという問題がある。
 さてはて、ところでTPPの議論を見ていて顕著なのは、政府側の人間が全く何もしゃべらないこと(尚今出ているのは古川元久のおじさん。このおっさん愛知の隣の区なので、良くポスターみるわけだがつまらんなあ)。
 内閣府のページにも、民主党のページにもTPPなんて触れてもいないんではないか。外務省のページにちょろっとあるのかな。TVに政府関係者が出てきても「ルール作りに積極的に参加すべき」とかいう、何の内容もない事しか言わない。あたかも「参加ありき」で議論をしようとしているように見える。しゃべらない奴は信用しない。これミムラの鉄則。

 愚痴はこの程度にして、色々調べていて漠然と考えているのは、まずは日本は恵まれていると部分を認識する必要がある。自由化されるということは、あらゆることが平らになる。ってことでしょ?自分ところの悪い面はよくなるかもしれないが、自分のよい面は悪くなるかもしれない。
 例えば、世界の水ビジネスの現状や、医療の現状、ああいった世界の闇に幸いまだ日本は引きずり込まれていない。そこをいかに守るか。医療については混合診療の話がメインになっているが、11/11の佐藤ゆかりさんの答弁で、知財面からの医療への影響も懸念されている。
 逆に声高に叫ぶ農業だとかは、言うほどの問題はないのかもしれない。それは、他国だって農業は守らなきゃいけないわけだ。この点は、石破元農水大臣(鳥取県出身)が言うのだから、信用できる気がする。ところで、農家の保護は米の値段を維持することで消費者が直接行っている。これは税金によって補填し、低所得者が米を買いやすいようにするという工夫は必要だろうよ。

 もっとも大きな問題は、推進派の理由がなさすぎる事だ。デメリットがメリットよりも小さいなら、メリットからデメリットを補うようにすればいいわけだが、メリットがあまりにも提示されない。もちろん様々なものが自由になることは間違いなく活性化されるだろうが。自動車の輸出はほんとに増えるのか?工場の海外移転はとまるのか?自分がトヨタの社長なら、TPPがあろうがなかろうが、どんどん技術水準も上がり、人件費も安い国に工場移すけどな。
 なお、輸出はアメリカが今後も成長するかは怪しいわけで(推進派の内閣府試算でも10年で2兆7000億円UP。しょぼすぎる)、TPPではたいした効果がでないという声がある。積極的に輸出を増やしたいなら、中国やインドを上手いこと取り込む必要がある。
 外交話になってくると、交渉下手な私は口を出せないが、ASEAN+6が大事であると。であるとすればTPPとはどう付き合うべきなのか。

 自分の中での結論は、TVの中で榊原英資さん(ミスター円)がおっしゃっておりますが「いずれは参加することになるかもしれないけど、そこまで性急に参加しなければならない理由がない。」と。個人的にはこれが自分の意見に一番近い。
 そうそう、あと「日本もしたたかに生きなければ」というけど、私は「みんなと仲良くする日本」でいいと思ったりするんだよ。

» Read more…

TVドラマ『わたしたちの教科書』 脚本:坂元裕二

 鬼平犯科帳をみまくっているんだけど、ちょっと浮気して近くの棚にあったTVドラマを借りてみた。

 中学校でいじめがある。いじめられていた女の子が謎の転落死。
藍沢明日香(志田未来):中学生。いじめられていた女の子。両親の離婚等により、施設に入れられる。
積木珠子(菅野美穂):弁護士。バツ1で明日香は元旦那の連れ子。明日香と3ヶ月くらい過ごしたことがある。
瀬里直之(谷原章介):弁護士。珠子と同じ法律事務所におり、一時はプロポーズもしたが別れた。
雨木真澄(風吹ジュン):副校長。「いじめは存在していません」と30回は言った。
その他愉快な先生と生徒達。

 なんかイライラするドラマだった。人間のキャラの変容ぶりが凄すぎて。大人ってもっと頭が固くて、しかし柔軟なもんじゃないかな。

●いじめを認めさせたい母親 VS いじめを認めたくない学校
 珠子が死んで初めて母性本能が芽生え初め、学校に弁護士バッジをぎらぎらさせながら喧嘩を売る。
 学校の実質的な代表である雨木は、「いじめがあったことを認める」事はいじめの根絶には繋がらないことを理由に、いじめは無かったと主張し続ける。確かに裁判やマスコミで「いじめがありました」と言ったところで悪化しても良くならないだろうと言うところは同意。
 雨木さんがまずいのは、校外に対するだけでなく、校内に対しても「いじめがなかった」と言い続けたところ。これは解決を先延ばしにするだけの、無意味な決断。これはドラマをみる人間は共感し、「雨木うんこ踏め!」とみんなで思えるところだろう。

●いじめる子供といじめられる子供
 いじめられる子には理由はなく、いじめを主導する子には、家庭環境に問題があり、そのはけ口としていじめるのだという気配が受け取られる設定。
 この設定はしっくり来ない。個人的には逆な気がする。いじめられやすい子っていると思うし、逆にいじめる方の家庭環境が悪いなんてことは希薄なイメージだけどどうなのだか。
 また、いじめられる生徒が死にたがるわけだけど「誰も私が死んでも悲しまないから」とか言う。けど、いじめられるときって「ただ辛いから死にたくなる」んじゃなかったかなーと思ってみたり。

●母と子
 三ヶ月一緒に過ごしただけの母と子が親子になれんのか。珠子は明日香からもらった手紙をにぎりしめて法廷に立つ。2~3年自分の金で裁判やってたみたいだけど、そこまでの愛が産まれるのかはなはだ疑問。 » Read more…

ネタバレなんて気にしない『時をかける少女』谷口正晃

 身の回りでは大絶賛だった気がするようなこの作品。そんなにビビビンとこなかったなあ。仲里依紗はそりゃ可愛い。みんな見ていた気がするので、見ていた人が読む前提で以下自己満足カキコカキコ。ちなみに、筒井先生の原作も過去の映画作もアニメも全部みておりませぬ。

 どこまで原作通りなんやろか。
 2010年のおかん芳山和子(安田成美)は1972年4月にいるはずの当時の恋人深町一夫(石丸幹二)に会うため、過去に行ける怪しい薬を開発する。しかし、普通に交通事故をして娘の芳山あかり(仲里依紗)が、代わりに薬を飲んで過去に向かう。でもまちがって1974年2月の大学の理科の実験筆の溝呂木涼太(中尾明慶)の上に落ちてくる。
・なんで、おかんの意識が回復するかもしれない、くらいの理由で過去まで飛ぼうと思うか?
・1974年に大学の理科の実験室で、大学に関係のなさそうな映画監督を目指す涼太は何をしていたのか?
・おかんは記憶が残ってるからタイムリープの薬を作ろうとしたのか?無意識?
・どっちにしてもおかん、1972年に悲しい別れをして、1974年にも新(?)恋人ゴテツ/長谷川政道(青木崇高)をアメリカにいかしちゃうなんて、女として男前すぎる。いや、切なすぎる。あるいは、ゴテツは「二番目の男」という事で、妥協を皮肉に描いているんだろうか。
・こんな可愛い女の子に「お願いだから泊めて!」と言われて、なぜ断れるのか。(せめて知り合いの女の子の家紹介するとかようよう。)
・ゴテツや一夫みたいな女を平気でほっぽらかす輩がもてて、涼太や浅倉吾朗(勝村政信)みたいなのが報われないってリアルすぎて泣けますね。
・正直。いきものがかり苦手なんだ・・・。
・まあでもさ、ヒロインがかわいくて、ヒロインに恋する男が切ない結末ならとりあえず、映画全体がよかったような気持ちになるよね。 » Read more…

District 9(大いにネタバレ)

 汚い!気持ち悪い!されど少し同情してしまう。でもやっぱり気持ち悪い!見てるともぞもぞしてくる映画「第9地区」借りて見ました。ほいさ
 
 南アフリカに、エビ型(気持ち悪い昆虫全部足した感じだけど、エビと呼ばれる)の地球外生命体がやってくる。
 宇宙船の中にいる栄養失調気味で、餓死しかけのところを保護。エビさん達は難民としてヨハネルブルグに居住区が作られ人間から迫害(差別?)をうけつつ住んでいる。治安などの問題から、町の中心部に近かった居住区をもっと遠くに移そうと言うことで、難民キャンプの各エビさんの家を回って、移住に同意のサインをしてもらったりする。(なんとエビさん達は英語もしゃべれるしサインもできるのだ!)そんな中で、移住作戦の人間側軍隊のリーダー(ヴィカス)がうっかりエビさんの家にあった液体を被ってしまい、どうもヤバイ液体だったみたいで、徐々にエビ化していく。

 エビさん達は地球外生命体なんだけど、侵略とかそう言う感じではなく、差別されている外人さん達という感じ。ってかこの映画のテーマがそこにドンピシャすぎるだけなのですが。エビさん達は、実に自然に、拾ったらしいタケコプターつけてたり、ブラジャーつけてたり謎に人間らしい感じが楽しい。 » Read more…

『レベルE』冨樫義博

万城目師匠の「偉大なるしゅららぼん」
「もっと知りたい歌川国芳」展開が面白すぎるThe West Wingの7シーズン
宇多田ヒカルの「WILD LIFE」のDVD
 コンテンツ系だけでも書きたいことが山ほどあるのだけど、なんだかんだ忙しい今日この頃。
 まずは、借り物「レベルE」の思い出。夢野久作に「ドグラ・マグラ」で一発殴られた自分としては、なんというか嬉しい一品であった。作中で「少女地獄」を主人公が読んでいたり。

 レベルEは作者は言わずとしれた冨樫義博先生。もう45才なんですね。『幽☆遊☆白書』『HUNTER×HUNTER』が有名作だとか。幽白とか全く覚えていない。蔵馬がセーラームーンのタキシード仮面様に被ってるなあと思っていた気がする。バラだけですな。
 週刊ジャンプは読んでいたので、現在進行形で読んていたはず。しかしタイトルくらいしか覚えていなかった。1995-1997年の作品だったようで、最強に心がすさんでいた時期ですなあ。こんな文字や説明やめんどくさい話の多い漫画読めるわけがない(笑)

 物語は
 

現在、地球には、数百種類の異星人が行き交い、生活していると言われている。気付いていないのは地球人だけなのだ…

 とこんなところから始まる。
 不安定な土台の上に立たせた上で、あれやこれや思考実験させようという魂胆だ。おういえい。「ドグラ・マグラ」を正に思い出させてくれるじゃあありませんか。「人間と同じ形をした宇宙人」というのは絵だから面白いんだよね。今読むとかなり面白い。

 性同一性障害の話なんかもさらっと扱っていて上手い。異星人(♀)が地球に来て性同一性障害の女性(心は男性)に恋をする。この異星人は遺伝子レベルの治療が得意なもんだから「(異星人からみて)相手の体が女なら男に変えればいいだけの話だ」とさらっときたもんだ。この異星人が人類と交尾したら人類がなんやかんやで滅びると言うことで、止めようとする。
 そして止めるために、その恋された人類の女性のクローンを作って、その場を凌ぐ。一個一個は細かい社会問題が入っているけど、今我々が「メルトダウン」と聞いて驚かないように、ごっちゃごっちゃでエライことになると、結構どうでもよくなる。と言う事を感じさせてくれますね。

 作品中個人的に一番面白かったのは最初の話。攻撃的な異星人を巻き込んで天才王子が盛大な芝居を打ち上げる。その攻撃的な異星人が、地球人を侵略しない理由は「野球が見られなくなるから」。畜生ぶっ飛んでやがる。いい味出してるよなー。でもさ、野球なんて人類滅ぼしても自分たちでやればいいじゃん。と思ったのは野球に対する愛が足りないからだろうか。
» Read more…

『365 DAYS』The West Wing/Sixth Season/Episodes12

よーやく重めの仕事が少し片づきました。

今回の話は結構心に響く物があった。
バートレット大統領は2期目7年を勤め上げ、最後の1年にさしかかる。
ホワイトハウススタッフは、それぞれの想う次期大統領候補の選挙運動へとシフト。
自然と、スタッフ同士も微妙な空気へ。
大統領を支えてきた首席補佐官レオは心臓を痛め退職。
大統領自身も抱えていた多発性硬化症を発症し、一時は執務が難しい状況に。
次期大統領という未来在るキーワードの影で、これでもかと現大統領率いる組織の老衰っぷりを描いていく。

そこに一度は倒れたレオが帰ってくる。
みなレオに挨拶しようとするも、忙しさで挨拶もそこそこで立ち去っていく。
結局仕事もなく誰も相手をしてくれない中、
レオは過去の一般教書演説のビデオを見ている。

その老衰のくたばりかけたようなレオが、
スタッフの目を覚まさせていく。
最後に、レオが夜中に官邸にスタッフを呼び出す。
ホワイトボードには「365Days」の文字。
レオがこれを一文字消して「364Days」に書き直す。
そして「That’s how much time we have left.」
 このままありきたりだけど、ホワイトハウスだからこそできることがある、なんかやり残したことはないか?という流れになっていく。
 「忙しさにかまけて、何か大事な事を忘れてはいないか?」そう言わせるために、レオと話す間もないような画の取り方をしていたんだ。ぱっと見レオがホワイトハウスにもう居場所がないんじゃないか?みたいな心配をさせておいて、チクショウにくい演出。

 この話は全体的に落ち着いたトーンで収まっていて、最後のホワイトボードのシーンも特段の盛り上がりを見せるわけでなく終わっていく。この前の話までは次期大統領選だとかなんだとかで、かなりテンションが高かったのだけど、ここにきてコレはいい場面だった。
 こーずっとここまで見てきた気持ちとしては、過去の一般教書演説の言葉だとか、トビーとレオのやりとり、大統領とレオが健康食をまずいまずい言いながら食べているシーンとか、夜に急に呼び出すのなんて定番のGOODシーンですし、ホワイトボードのシーンにジョシュがいないことの寂しさとか、あーたまらん!明日も仕事頑張ろう!

平山郁夫シルクロード美術館

平山郁夫
1930年6月15日広島に誕生。
1945年8月6日原爆で被災。
1959年原爆後遺症(白血球減少)
このあたりの自身の経験が、かの玄奘三蔵(三蔵法師)に重なるところが多いことに気づき、玄奘三蔵を調べるほどにどっぷりはまっていく。というのが平山氏の基軸のようだ。
 アジアのシルクロードをめぐり、それぞれの場所でスケッチをし、絵に収めていく。調べてみると50年で60回近くシルクロードの旅に出ている。
 それぞれ、地で現地の女性の絵を描いたり、ただの岩の風景があったり、とにかく片っ端から描いていったんじゃないか平山氏。愛を感じるのは、タリバンに破壊されたアフガニスタンの遺跡を1年以内にスケッチに行っていたりすること。この時代は自分の記憶にも新しく、妙に生々しかった。同じ時代に生きている画家の作品というのはまた全く意味が変わってみるものかもしれない。
 ピースをしていた石造(?)のスケッチが何だったのかは謎である。

 ところで平山氏はWikipediaを見ると、どうも外国で評価をされていないようだ。平山氏の絵はすごくわかりやすく、見たものを見たまま描いているように思う。美術館で思わず目に留まったのは旅先で書き溜めたスケッチブックの展示。これを見て漏れでた感想は「見た風景を絵に落とせると、さぞよいだろうなあ」。
 写真で撮ったものよりも、絵で書いた方が、見たものの再現性に優れている。もちろん絵の技術を前提として(優れた写真屋を否定するわけじゃないけど、やっぱり絵が優れていると思う)。
 絵を色々見ているわけでもなく、教育を受けたわけでもないのに、勝手に語るけど、モネの絵を見たときモネの主張というか感情がドサドサ入ってくるようで辛かった経験がある。でも、平山氏のものは「あーこうやって見えるんだろうなあ」と思わせる絵だった。外国では意見が感じられないと絵にも意味がないのだろうか。
 たまたま美術館内の書籍で見つけたのだけど、「広島生変図/1979年/広島県立美術館」という絵があって(広島にあるらしい)、この絵の中には不動明王が描かれている。原爆から30年以上。やっとその時に見たものを描けるようになったのかなと。これは現物を見に行きたい。

 この美術館に訪れた日、盆地一面を覆う桃の花を見た。この桃が美しいのは生活の中で咲いている桃だからだ。人の営みは美しい。
 桜が舞い散る恵林寺にも行った。鳥がばさばさ音を立て、庭の水が流れる音が響く。池は桜の花びらで覆いつくされ、波紋が美しい。その脇では鴨が1歳児のごとく飯にがっついている。訪れたわれわれも一歳児の視点で寺を眺めた。
 いくつかカメラに残しては見たけど、この風景は平山氏を呼んで描いてもらうしかない。でも、富士が絶えずこっちを見ている気配まではさすがに平山先生でも描けないかな。

 同じたびでよっぱらったおっちゃんの日本悲観論を聞いたり。うめー弁当食ったり。小学校の廃校で少々遊んだ。日本書紀の話も聞かせてもらった。まー色んなことを考え、色んな話をした。
 ふと思うのは、画家という職業はその一面を切り取る仕事。逆に言えば、絵を見てもやっぱり一面しか伝わらない。そう思うと辛い職業だなあ。それに、人間はそんだけすごい量の処理をしているんだということでもあるわけで。あー途方もない一日をすごしているんだなあ。
 この文章を書き終え、この旅の始まりから丁度24時間くらいになる。

 以上。言葉が1/3でも伝わっていてくれていれば嬉しいわけでして。そしてこれからも、少しずつ言葉を吐き出すので、少しだけでも受け入れてもらえるならこれに越した幸せはございません。また、是非貴君の意見を聞かせていただきたいと思っておるところです。今後ともよろしくおねげえいたします。

さてさて愛知に帰ります。
山梨のマンガ喫茶にて旅の余韻にふけりながら
自己陶酔型の恥ずかしい文章を書くの巻
4/17 AM6:00

めいしんこーそく

→→プロジェクトX 挑戦者たち 「日本初のハイウエー 勝負は天王山」←←
 久しぶりにGYAO!なんぞ見ておりました。そう言えばYahoo資本になっていたんだっけ。GYAO!の時代がくると思っていた時もあったなあ。今や動画コンテンツはニコニコ動画やYouTube。ネットは結局積極的に情報を取りに行くところなので、より専門性の高いコアな情報じゃないと受け入れられなかったということだろうか。
 見たのは名神高速の建設プロジェクト。地形や天候を克服しつつ如何に作っていくか。やっぱり職人ってのはカッコイイ。どんなでかい建造物でも自分と同じような人間が作っている事が実感できるからプロジェクトXはいいよね。

 ところで何となく面白いなあと思ったのが、高速道路が日本の自動車産業にとって非常に大きな要だったらしいこと。

(名神)
1958年3月19日 : 松永安左エ門の私設シンクタンク産業計画会議が「東京-神戸間高速道路」の建設を政府に勧告。
1963年7月16日 : 日本初の高速国道の開通区間となる栗東IC-尼崎IC開通。
1964年4月12日 : 関ヶ原IC-栗東IC開通。9月6日 : 一宮IC-関ヶ原IC、尼崎IC-西宮IC開通。
1965年7月1日 : 小牧IC-一宮IC開通により、全線開通。
(東名)
1968年4月25日 : 東京IC-厚木IC、富士IC-静岡IC、岡崎IC-小牧ICが開通し、小牧ICで名神と接続。
1969年2月1日 : 静岡IC-岡崎IC開通。
1969年3月31日 : 厚木IC-大井松田IC、御殿場IC-富士IC開通。
1969年5月26日 : 大井松田IC-御殿場IC開通により、全線開通。
Wikipediaより

以下はトヨタ自動車の自動車生産台数。

台数
1962 230,350
1963 318,495
1964 425,764
1965 477,643
1966 587,539
1967 832,130
1968 1,097,405
1969 1,471,211
1970 1,609,190
1971 1,955,033
1972 2,087,133
1973 2,308,098

戦後日本の自動車産業と臨時工/伊達浩 より勝手に引用

 高速道路ができたことで、国内需要が増大したってのは私の勝手な妄想。
 またスピードの出せる車の開発等につながったと言う面があるようで、当然輸出するに当たっては、スピードがより重要にもなるわけで。これはプロジェクトXのナレーション。

地方自治体は、トヨタの工場立地戦略に合わせて計画道路整備してきたといわれる。69年には東名高速道路が開通したが、トヨタ元町工場の至近距離に豊田インターチェンジが作られ、これによってトヨタはさらにいっそう有利な広域交通条件が与えられた。
97年度 望月宏ゼミナール 2年次進級論文 E08-0275H 鎌田 大介
より勝手に引用

 ちなみに1964年10月10日~24日には東京オリンピック開催。
 高速道路もオリンピックに間に合わせようとして作られた物なのかな?1964年10月1日には東海道新幹線も開業。なんかあっちもこっちもお祭り騒ぎだったに違いない。

 なお、番組内で在庫率を下げる事が高速道路建設の一つの目的だったとあるけれど、

1965年度の日本経済をみると、64年度半ばから進行していた不況は65年に入ってから製品在庫率が上昇し、企業倒産は増大し、卸売り物価や株価は下落した。
戦後日本経済の歩み/士志田征一

とあり、その役に立ったのかは不明だなあと。

 なんとなくあわただしい時代の空気を感じてみたのでした。1960年代の小説とかあったかなあ。安保闘争とかが直前くらいなのかな。やっぱりあわただしい。