汚い!気持ち悪い!されど少し同情してしまう。でもやっぱり気持ち悪い!見てるともぞもぞしてくる映画「第9地区」借りて見ました。ほいさ
南アフリカに、エビ型(気持ち悪い昆虫全部足した感じだけど、エビと呼ばれる)の地球外生命体がやってくる。
宇宙船の中にいる栄養失調気味で、餓死しかけのところを保護。エビさん達は難民としてヨハネルブルグに居住区が作られ人間から迫害(差別?)をうけつつ住んでいる。治安などの問題から、町の中心部に近かった居住区をもっと遠くに移そうと言うことで、難民キャンプの各エビさんの家を回って、移住に同意のサインをしてもらったりする。(なんとエビさん達は英語もしゃべれるしサインもできるのだ!)そんな中で、移住作戦の人間側軍隊のリーダー(ヴィカス)がうっかりエビさんの家にあった液体を被ってしまい、どうもヤバイ液体だったみたいで、徐々にエビ化していく。
エビさん達は地球外生命体なんだけど、侵略とかそう言う感じではなく、差別されている外人さん達という感じ。ってかこの映画のテーマがそこにドンピシャすぎるだけなのですが。エビさん達は、実に自然に、拾ったらしいタケコプターつけてたり、ブラジャーつけてたり謎に人間らしい感じが楽しい。
ニール・ブロムカンプ監督は南アフリカ出身。主演のシャールト・コプリー(ヴィカス役)も南アフリカ出身。映画の舞台も、撮影場所もまた南アフリカ。この映画は国の事を伝えたい、そんな映画なのだと。それを思えば、実にシンプルな映画だと。差別だなんだを扱う映画の微妙な綺麗事感がない。
映画はインタビューで始まり、作中もNHKのドキュメンタリーで田舎の商店街を取材しているような、あるいは警察密着24時を見ているようなカメラワーク。
エビさん達の居住区はソウェトのシアウェロという地域で撮影が行われており、ソウェトはアパルトヘイトにおいて黒人側が蜂起した場所なのだそうだ。シアウェロはソウェトでも一番貧困が進んでいた地域で、マンデラさんの(1994年って最近だねえ)復興開発計画によってその地域の人は別の地域に移住させられている。
その空屋となったボロな小屋(シャンクというそうで)を使って、エビさん達の家の撮影をしている。
(映画とは関係ないけど、参考⇒ある40代女性の生活:南アフリカ: W杯 会場近くに貧困地区 これからどうなる)
映画の中で、動物の死骸がちまちま出てくるが、それはその辺の天然の死骸で本物なのだと(一瞬映すくらいで、見る人に配慮はされている)。撮影は異臭で大変だったらしい。真っ赤に染まる夕日も、汚れた空気によって濁っている。町の中にゴミの山があるが、これも元からあったモノなのだろう。
この映画のエビさん達を、南アフリカに豊かさを求めて来るジンバブエの黒人に重ねて見てくれてかまわない、と監督は言う。エビさん達は上層部がウイルスでやられて仕方なく、下っ端だけで地球に来た。その地に住むことになるが、人間からは当然ながら強い嫌悪を抱かれている。
画面から見るこちらは、気持ち悪いながらもエビさん達が可哀想だと思う。安全な地帯から「他人を可哀想」だとか思う。つい最近感じた居心地の悪い感じ。
さらには、ナイジェリア人がギャングとして出てくるのだけど、これは南アフリカの人がナイジェリア人に否定的な感情を持っている事をそのまま描いてしまったそうだ。生々しすぎるぜ監督。
この南アフリカそのままの情景の中で、エビさん達の中にクリストファーという賢いエビが現れる。だんだんエビ化してくる軍隊のリーダーヴィカス。最初は治療されていたはずなのに、徐々に人間軍隊の実験台として利用されそうになり、終いには生きたまま解剖されそうになる。軍隊から命からがら抜け出し、共通の敵を持つこととなった賢いエビさんクリストファーと急速に団結。二人で闘っていくことになる。その後の流れはアドレナリンの出る普通のバトル展開。武器が格好良くてかなり燃える。
ちなみに、最後のオチがなんというか南アフリカっぽい。と自分は思った。
なんつーのか。途中エビさんが銃で撃たれ、肉片が飛び散るシーンがある。ここで監督は「少し笑えるでしょ?」といってしまう。その感覚が映画の中に確かに流れている。陰惨であったり、外道とも言えそうだけど、なんか人間的な。
1700字くらい
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これ観たいと思ってたんですわー
ますます観たくなるなー
ありがたきコメント頂戴致しました
世間様は賛否両論っぽい
私は監督の無邪気感(中二病感)を含めて好きです
DNAを認識しての吸着爆弾!
パワードスーツ!