映画『告発』Marc Rocco

監督: マーク・ロッコ
出演: クリスチャン・スレイター, ケヴィン・ベーコン, ゲイリー・オールドマン

日本国憲法
第十一条  国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 借りてきた映画を見るのは久しぶり。英語も一ヶ月くらい勉強し始めて大体言っていることがわかるようになったね。嘘です。全然聞き取れません。ってか声と顔が一致しません。困ったもんだ。
 大好物自作ケチャップオムライスを食べながら見ていたのですが、序盤30分の痛々しい場面でのケチャップは台無しでした(><)

 5ドルを窃盗した罪で捕まったヘンリー・ヤングは、アルカトロズ刑務所に送られる。おとなしくしておけばいいモノを脱走を試み、相棒にちくられて失敗。独房に3年間(当時19日が平均)入れられ、やっと出られたところで、スプーンでそのちくった相棒を殺してしまう。
 で、その殺人事件の担当になった新米弁護士ジムが、殺しは認めつつも「刑務所の長期に渡る独房監禁のせいで殺人をやっちまったんだ。」ってな論を展開しつつ、頑なヘンリーや権力と闘っていく。(法律的にどういう理屈で闘っていたのかはよく分からんかった)

 これで一応ノンフィクションらしい。映画ではこの事件をきっかけに刑務所が閉鎖されるという流れを作っているが、Wikiを見ると閉鎖は「財政的な理由」と書かれているがどうなのかね。この映画の事件は1940年前後の話で閉鎖は1963年だそうで。

 さっそくオチを書いてしまいますが、
(ネタバレ注意)
(ネタバレ注意)
(ネタバレ注意)
(ネタバレ注意)
(ネタバレ注意)
(ネタバレ注意)6行明ければいいっしょ。

 映画内でこんなやりとりがある

ヘンリー「オマエは5ドル盗んだことあるか?」
ジム「一度。兄貴の財布から盗んだ」
ヘンリー「それで?」
ジム「二度とするなと怒られた」

 ヘンリーがこの後不公平の理由をジムに問うがこれにジムが答えられず、次のシーンに飛ぶ。
 同じ不公平でも優位に立った方は、不利な立場には決して歩み寄れない。この事は答えられるわけもない重さを持っているなあと。
 ジムの努力の甲斐もあり裁判で勝ちそうになるも、勝訴したところでアルカトロズに戻ることになるため、アルカトロズを畏れヘンリーは死刑を望みはじめる。しかし、なんだかんだでヘンリーは裁判で勝つことを優先し過失致死3年の判決を受ける。
 案の定、アルカトロズ刑務所に再び送られ、独房内で死ぬ。独房の壁にヘンリーは「Victory」と書いたそうで。
 気に入らないのは、最後ヘンリーに「I won!」と言わせ米国国旗がはためく船に乗りアルカトロズに戻っていくシーン。彼らは完全に負けとるやないか。負けないとこの映画の意味が陳腐なものになる。「死と引き替えにでも社会に悪を告発することは正義だ!」といわんばかりのこのエンディングは気に入らない。なぜそこでアメリカ国旗を堂々と掲げられるんだ!?
 せめてジムだけでも負けたと認めてくれるなら、もうちょっと厳粛に受け止められたのになあと思う。

 ところで、基本的人権と言う言葉が出てきてふと憲法の本を久しぶりに開いてみたり。
 憲法には3つの概念がある。なお、勝手に要約するけど、学者の人からは酷く怒られることでしょう。詳しくは元の文書に当たってください。建設的な批判は大歓迎にて。『憲法第四版』芦部信喜
◎形式的意味:
 成文の法典を意味する。
◎実質的意味(固有の意味):
 国家の統治の基本を定めた法を意味する。すなわち、国の機関や権力の作用や関係を起立する規範。
◎実質的意味(立憲的意味):
 専断的な権力を制限して広く国民の権利を保障するという立憲主義の思想に基づく憲法。すなわち、権力の制限をして人権を保障しようと言う意味。

 この最後の立憲的意味が「憲法の最も優れた特徴」と言われているようで。
 憲法ってのは権力を制限するためにあるもんだと。その上で、改めて冒頭で掲げた日本国憲法11条及び13条において基本的人権を保障されている。
 こういうのを書き始めると死刑制度なんかについても考えてしまうわけで。「冤罪を考えると死刑は…」とか以前の大事な事があるよなあなんて思ったり。まあ死刑についてはしっかり考えたこともないので今後の課題。
 そういえば「名古屋刑務所リンチ殺人事件」こんな事もありましたね。ちょっとは状況は改善されているのでしょうか。まだまだ村木さんの事件なんかもあったりVictoryにはほど遠いなあと思うのであります。

 おっともう1時か。明日も仕事がんばんぞー。おやすみなさいませ。

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