映画『ビーイング・ボーン』Abby Epstein

公開サイト⇒「松嶋×町山 未公開映画祭> ビーイング・ボーン~驚異のアメリカ出産ビジネス~
2008 / アメリカ / 87min
【原題】 The Business of Being Born
【監督】 Abby Epstein
【製作スタッフ】
Abby Epstein
Paulo Netto
Amy Slotnick

 この映画の説明には「アメリカの病院や医療保険のビジネス化によるゆがんだ医療の現状を追う。」みたいな事が書いてあるけど、本質はアメリカにおける出産に関わる医療を批判する映画かな。妊婦が監督となり映画を作っていく。
・日本や欧州では助産師が関わるお産が70%以上。アメリカでは8%未満
・アメリカでは3人に1人は帝王切開
・帝王切開が多いのはは病院の効率化の一環
・自然分娩は結構安全
・自然分娩をするときに出るホルモンが母性本能を興す
 こんな事が耳に付いた(ちなみに書いている私も、これらが全て本当だとは信じていない。)
 アメリカの病院には助産師がいないことから、助産師を助けを経て自然分娩をするためには、自宅分娩を取る流れになるようだ。
 逆に日本では助産師外来なんてものもあるんですね。グーグル先生の雰囲気を見ると出産できる病院のほとんどに助産師さんはいるような?

 見ながら思い出していたのは、昨年の24時間テレビでの事。
無介助分娩の危険性などについても含めて⇒2010-08-25 24時間テレビの暴走を考える/新小児科医のつぶやき
 助産師の介助も受けずに出産する画を24時間テレビで放映する予定であることを、たまたま取材を受けた方がmixiに書いた事で発覚。ブログやTwitter上で大きな声となっていました。色々な方が動かれたのでしょう、24時間テレビでは問題のない形に修正されて放映されたようです。

 映画を見ていて怖かったのは出産に関する医療の歴史。
1930年代にはレントゲンで骨盤を計測し、幼児がガンになることが分かり40年代になって使用を止める。
1950年代には不眠症の薬や、つわりの緩和剤としてサリドマイドが使用され、ご存じの通りの事態となり使用を止める。
1960年代にはスコポラミンという鎮静作用と記憶喪失の作用がある薬が使われ出産自体を記憶から消してしまおうと言う時代があったとか。
 もちろんこれらは終わったことなので今から畏れることはないのだけど。この映画は自分たちの主張を強くするあまり、過度な恐怖を煽っているところがあってその点はあまり評価できない。人間は危険を過大に評価する傾向があるわけで。

 この映画にはモザイク無しで出産の映像もあったりする。こういう映像を見ると本当に男の無力さってのを感じるねえ。

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