「臓器移植に関する法律」の改正案 まとめ中

椎名林檎ニューアルバムを聞きながら

◎従前の法律の問題点

臓器の移植に関する法律第六条一項

医師は、死亡した者が生存中に臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないときは、この法律に基づき、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。

という記載がある。
 これによって、現状では(意思表示ができる)15 歳未満の場合は臓器の提供が不可能。又、15才以上においても(本人の意思が必要なため)外国よりも遙かに少ない。

心臓移植の実施件数(平成20年){参議議員富岡発言}
アメリカ 2163例
日本 11例

 ・死亡による臓器移植が難しいため、生体(生きている人から)の移植が増えている。
 ・海外での移植が制限されそうになっている

◎改正案
[A案]
 ◎脳死を人の死とする(本人か家族が反対した場合は除外)
 ◎本人の意思がない場合、家族の意思で臓器移植可能に
 →本人の意思が不明でも、家族の同意により移植可能
 →15才未満の者でも、移植可能に
[B案]
 ◎意思表示できる年齢を15才→12才にする。
 →12~15才の者が、本人の意思により移植ができるようになる
[C案]
 略(臓器移植が難しくなる)
[D案]
 ◎15才未満の者に限り、家族の同意があれば脳死とし、その脳死を人の死とする。
 →15才未満の者については、家族の同意により移植可能に 
[E案]
 いまいちよくわからんかった・・・。とりあえず、いろいろ委員会を設置してしっかり審議しよう。ということかと・・・。(後日加筆するべし)

◎争点
[A案に対する批判]
・移植可能な状態を増やすと、「脳死状態で臓器移植しない人」へのプレッシャーがあるのではないか?
・虐待児の臓器移植が行われるかもしれない
・脳死の人を「死」だと受け入れられるか?(脳死の人は血が流れ成長さえする)
・国民の議論がまだまだ進んでいない
・法律に頼らずドナーカードの普及を
[B-E案に対する批判]
・生きられる人の命を少しでも多く・・・。

◎雑感
 まず一番悩ましいのは法律のあり方。
 「人の死」なんてものを、きちっとみんなで合意できるわけがないのは自明。ただ法律上便宜的に「死」を定義しなければいけない。
 かといって、便宜だけで決めるわけにも行かず、やっぱり国民もある程度は納得できなきゃいけない。
 国民の意見がある程度まとまってくるのを待つべきなのか。あるいは「脳死=死」というのをどうにか回避すべきなのか・・・。

 ちなみに、衆議院での採決では私の好きな
与謝野馨、石破茂
 なんかもA案に反対している。あとは病気と闘ってきた川田龍平氏なんかも新たにE案というのを出して反対している。川田龍平氏が反対しているというのは、特にしっかり意見をきかんとなぁ思う。
 石破さんのあくまでも、法律に頼らず、本人の意思(ドナーカードの普及)を広めるべきだ。という意見は確かになぁーとも思います。

◎参考
日本移植学会
NIKKEI NET – (6/18)臓器移植法改正A案への賛否
参議院-臓器移植法改正案及び子どもの脳死臨調設置法案の本会議趣旨説明
参議院議員 川田龍平氏「臓器移植法案 人の死を拙速な議論で扱うな」
石破茂-鳩山大臣、臓器移植法改正案
医療を支える関西オカンの会・・・時々、オトン – 脳死は人の死か
東京西徳洲会病院総長 橋都浩平のcanopy walk – 脳死を再考する

臓器の移植に関する法律
(平成九年七月十六日法律第百四号)

(臓器の摘出)
第六条  医師は、死亡した者が生存中に臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないときは、この法律に基づき、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。
2  前項に規定する「脳死した者の身体」とは、その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたものの身体をいう。
3  臓器の摘出に係る前項の判定は、当該者が第一項に規定する意思の表示に併せて前項による判定に従う意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けたその者の家族が当該判定を拒まないとき又は家族がないときに限り、行うことができる。
4  臓器の摘出に係る第二項の判定は、これを的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師(当該判定がなされた場合に当該脳死した者の身体から臓器を摘出し、又は当該臓器を使用した移植術を行うこととなる医師を除く。)の一般に認められている医学的知見に基づき厚生労働省令で定めるところにより行う判断の一致によって、行われるものとする。
5  前項の規定により第二項の判定を行った医師は、厚生労働省令で定めるところにより、直ちに、当該判定が的確に行われたことを証する書面を作成しなければならない。
6  臓器の摘出に係る第二項の判定に基づいて脳死した者の身体から臓器を摘出しようとする医師は、あらかじめ、当該脳死した者の身体に係る前項の書面の交付を受けなければならない。

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