取り急ぎ激お勧めの一冊『困ってるひと』大野更紗

 なんか世間はサッカーに熱くなっている頃、「困っているひと」という本に熱くなっていた。午前0時に読み始めて途中でとても終わることができず最後まで読み切ってしまった。正味4時間、ちなみに、なんかムーミン谷とかでてきたり、かなり読みやすい。
 ブラックユーモアみたいなものも笑える人であれば、結構楽しく読めると思う。じめじめした暗さは全くない。私は随分声を上げて笑いながら読んでいた。そりゃー背景に流れる事実想像を絶するような事ばかり。でも、面白いんだからしょうがない。

 この本は1984年福島県生まれの免疫系(+α)の非常に珍しい難病にかかった女性の物語。6月16日発刊なのかな、少し福島原発の話にも触れていたり。大野更紗さんは大学生時代にビルマ難民問題に積極的に取り組んでおり、これから大学院に行って東南アジアの現地で学んでやろうと意気込んでいた矢先の発症であったらしい。
 ビルマの難民問題を核燃料棒もびっくりの熱さで取り組んでいたために、たまに自分を難民とみなして、難民を支援する側を観察したり、他の難民(患者)にインタビューして、書籍上で分析して見せたり。まあとにかく視点が多様で面白い。病院での胸が締め付けられるような切ない恋話もあり。ううう。いいなあ。

 ビルマ、難病、おしり、恋、社会保障問題と、チラシ寿司の具か!となんでも入っている一冊。ちなみに調和が素晴らしい。
 この記事の意味はもう分かるな。それが伝ったら以下読まなくていいから本屋に走れ!
 お小遣い制限が厳しいという人は、→←困ってるひと ブログでもよめるようですよ(ぼそっ)。
ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=(o゜―゜)o

 入院中の話、父母は高額な医療費を払うために朝から晩まで働いている中、友人に色々な雑用で頼っていた。
 しかし、友人にも遠回しに「限界」を伝えられる。1人で日用品も買えない彼女に対する援助の手が無くなってしまう。そんな精神的ずたボロの時、自分をビルマ難民に重ねてみたりする

  じゃあキャンプの中で、ビルマ難民が頼っていた物は何だったっけ、と、記憶をよみがえらせてみる。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の援助米。NGOの急ごしらえの病院。(三村略)
 つまりそれって。「国家」。「社会」。「制度」。特定の誰かではなく、システムそのもの。
 ひとが、最終的に頼れるもの。それは、「社会」の公的な制度しかないんだ。わたしは、「社会」と向き合うしかない。わたし自身が、「社会」と格闘して生存していく術を切り開くしかない。難病女子はその事実に愕然とした。(P212)

 私は人のブログだと引用文は読み飛ばすんだけど、是非よんでちょ(笑)
 「マリアナ海溝」と称する(笑)「制度の谷間」の問題。難病を発症して体がボロボロの中。一年間病院に入院さえてもらえず病院をたらい回しにされる。そしてやっといい先生に(自力で)出会い病院に入院しかし。社会保障の抜け穴にずこずこはまり、高額な医療費を払い、長期入院ができず無理矢理退院させられ。読んでいると怖くなる。私たちの歩いている道に深い大きな穴が開いてたら怖いわ。その穴に彼女は落ちてしまったのである。今でも落ちている。

 ちなみに、面倒な事ばっかり書いたけど、基本は笑いばっかりだし、こっちが赤くなるような恋の話もあるわけだ。写真を見ると女子としてもカワエエ。
 彼女は「現在も都内某所で生存中」、Twitterで常に発信もしておる、それどころかブログを見るとめちゃんこ活動してるやん。ハラハラするわ!
 ちょっと追いかけてみようかなーと思うのでした。病院のある関東でしか活動できないのだろうから、関東にいかなくては。

 関係ないけど、私の母が狭心症で病院に行ったみたいで。少し病気と向き合う期間になるのかななんて。どうも人間が生きるという事は難しいことらしいねえ。
 私はこういうのに結構啓発されちゃうんだよね。

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