人間には不幸か、貧乏か、勇気が必要だ。
でないと 人間はすぐに思いあがる。 = ツルゲーネフ

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2007年6月21日

提灯掲げて40年

 家の近くの40年続いたという居酒屋が今月いっぱいで閉じる。

 座席はカウンターのみで席数は20席くらい。U字カウンターで、奥でおばあちゃんが料理を作っては持ってくる。
 団体のお客が来る時には、(詰め込めば)40人くらいはいける座敷が解放されて、ひたすら揚げ物が運ばれてくる。唐揚げがうまい。
 ビールは、キリンとアサヒ両方あって、言えば取ってもらえるけど、みんな自分で取りに行く。ウーロン茶も冷蔵庫に入っているので、缶のまま勝手に持っていく。
 壁にはかなり黄ばんだ、安っぽい紙に書かれたメニューがはってある。ほとんどが400円未満の物ばかり。メニューの周りには40年間たまりに溜まった名刺や学生証がぎゅうぎゅうに詰まっている。

 席に座ると、とりあえずおでんとビールを一本。他のお酒は、瓶のカクテルが少し置いてあるくらいなので、ビールを飲まざる終えない。(炭酸が飲めない自分にとっては、ここでの飲みは結構辛い)

 昨日先輩と久しぶりに行ったのだけど、おばあちゃんが「今日は残り物だけねー」と言いながら繰り出したおでんの具は
「卵、ちくわぶ、ちくわぶ、ちくわぶ、ちくわぶ」
その次の客には
「卵、ちくわぶ、ちくわぶ、ちくわぶ、厚揚げ」
だったのに。
 料理を頼もうとしたら「もう疲れたわー」と拒否しようとしたり。隣の席の客の喧嘩の内容を教えてくれたり。まさにぐだぐだした感じで、時を過ごす。
 私の場合結構冷めた家だったので、
「こーいうのが家庭のぬくもりかー」
なんて、ちょっと間違った感覚も味わえる。

 以前座敷に団体で行った時には、人数が多すぎて、座敷だけでは足りず土間のビール箱の上に段ボールを置いた机が設置されていた。端っこの方はビール箱が足りてなくて、ぐにょんぐにょんで危険だった。ちょっとしたアトラクション。

 昨日、向かいのお客さんが帰る時に、そのお客さんが「お疲れさんです」と言うと、わざわざ握手をしていた。やっぱり、40年の思いがあるのだろうか。私たちが帰ろうとすると、「楽しいお酒はいいね」と言ってもらえた。(私は後から来た後輩にいじられて凹まされていたが)


 私が新しく居酒屋でバイトを初めて20日そこら。私のバイト先の居酒屋は30席くらいで、料理人2人、ホール2~3人で回している。比して、おばあちゃんの居酒屋は20席でおばあちゃんが全部こなす。(もっともホールは無限大にいるが)
 これを40年やってきただなんて、すごすぎて。すごすぎて。
 おばあちゃんはどんな思いなのか、私の知っている喜怒哀楽で表されるようなものじゃないのだろうな。私がたった二十数年の中で得てきたすべての考えや思いを凌駕する40年という時間があの居酒屋に詰まっているのだから。

 たくさんの夢や希望や愚痴や涙や怒りや笑いや無気力やなんやかんやいろんな感情がたまりに溜まった一つの劇場が閉じる。


 あのおばあちゃんに「もう疲れたわー」とはちょっと言えない。
 

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コメント

えー!
あの店閉めちゃうんですか。3回位しか行ったことないけどちょっと寂しいです。
ぐだぐだだったけど、確かにあったかかったなー

名古屋のこたつ 一福 だな

いいこといった。

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