片山若子さん(リンク=渋皮栗)の絵が美しい星新一さんの小学生向けSF中編。「宇宙の声」と「まぼろしの星」という二編が入っている。
ものすごく読みやすく、「あー宇宙面白そう!」やなと。
「宇宙の声」では、宇宙に思いをはせるミノル君とハルコちゃんが、急に意識を失い見知らぬ場所で目覚める。
ミノル君はハルコちゃんをリードしつつ、どうにかこの困った状況を脱しようと努力する。
と、おっさんが出てきて「きみたちふたりが、初の合格者だ。わたしは宇宙特別調査隊のキダ・マサオという者ですよ」ときたもんだ。先ほどまでの見知らぬ場所は、映像で、どんな行動をとるか試験をされていたそうな。
そしてこの二人+大人が、ある星から出てくる怪電波(?)の正体を暴くべく宇宙へ出ていく。
「まぼろしの星」では、犬のペロとお散歩中のノブオ君の前に、喋るハトが現れる。
それを追いかけて、ビルの部屋に入ると宇宙空間が広がる。そしてそこで、お化けクラゲと戦う!
と、おっさんが出てきて「わたしは、ガンマ星の基地の副所長のフジタです。ある事情で、基地で人をふやさなければならなくなった。しかし、宇宙はきびしいところだ。遊び半分の人間では、なんの役にも立たない。そこで、ひろかに試験をしてから採用する方針をたてた」と。先ほどまでの宇宙空間は、薬で見た幻覚なのだそうな。
そして、ノブオ・ペロ+大人二人で、狂った計器の原因を求めるために宇宙へ出ていく。
いやはや、このイントロでぐっと来るわけですよ。
身の回りで起きる一つ一つの出来事が採用試験かもしれないと。興味を持って探索していたら、「ああ!君みたいな人を求めていたんだよ!」っていう妄想は良くした気がするなー。
そして、その後いろいろな島に行き、凶暴な生き物に襲われたり、ダメになった大人を目撃したり、文明が作りあげてしまったものと戦ったりしていくわけですな。
遊園地のために作られた星もあったりして、結構わくわくしながら読める。
これはぜひとも小学生の目のつくところにわざと放置しておきたいような作品ですわ。
よかった。
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