年末実家に帰る途中に手に入れた本。何回か利用しているけど、姫路駅の乗換え口近くの本屋(改札外)はいいよ。うん。
ミステリーはあまり読まないので、説得力はありませんが、これはかなり面白かった。
↑BGMにどうぞ(これがタイトルの元だと思われ)↑
若いきれいな娘さんが探偵エルキュール・ポアロの元を訪れ、16年前の事件の再調査をお願いする。その事件は、その娘さんの今は亡き母親が犯人とされているもので、娘としては無罪だと信じておるのだが・・・。
16年前の事件なので物的証拠の再調査等はできるわけもなく、資料は関係者の証言だけ。
また事件捜査は、アリバイつぶしや、証拠探しをするわけではなく、各人の人間関係や性格から、犯人の像を精密にあぶりだしていく。
一筋の老弁護士ケレイブ・ジョナサンとの会話。このやり取りからそれが読み取れる。
「わたしがまちがっていたら訂正していただきたいのですが、ムッシュ・ポアロ、あなたが興味を持っておられるのは――人間の性格、そうですね?」
ポアロは答えた。
「たしかに、どの事件の場合も、わたしにとって最大の興味はそれです」(P61-62)
最初、動機とかを中心にこいつが犯人かなーあいつが犯人ではありえないなーと、思っていると、それぞれの人物の意外な一面が現れてくる。しかし、これがその一人の人として人間的に矛盾してない。くだらない推理小説は、事件の構造に力を入れすぎて、人間の性格がぐちゃぐちゃになっていたりする。
「あーーーーお前そういう奴だったわけか!なるほどなるほど」と感想がもれ出るような本ですわ。
人はいくつかの性格を持っているけど、なんだかんだ一貫したものがある。それをここまで巧妙な感じで書かれるとゾクゾクっとしてしまいますわ。
16年前ということで、それぞれの人物の記憶が多少違っていたりするのも、上手し。そのあいまいな記憶を思い出させるために、当時かいだであろう匂いの香水をさりげなくかがせたり。洒落たことするんですわ。
まったこの西欧感がたまらない。ムッシュポアロ!とか、一々丁寧で高貴ぶって背筋が伸びてそうな感じとか。きっとこれは訳者の力量なのでござろうなあ。一応ポアロはベルギー出身で、ドイツ軍の侵攻などにより、イギリスに亡命している設定らしい。
なんか妙に満足した小説でした。
ポアロシリーズは映画もあるみたい?見てみたいのう。
最近のコメント