Daily Archives: 2011 年 7 月 17 日

成功する方法

 会社の先輩に「この本は自己啓発本っぽくなく、話が面白くて読みやすいからお勧め!」と言われて、夢を叶えるゾウ、を借りて読んだ。
 120%自己啓発本だった・・・。
 17~20才の頃は自己啓発本読んでは、モチベーション上がって頑張れたもんだけど、ひねくれてもうたなあ。

 この本読んだって、「成功者」にはなれないし、自分が「不成功者」であることを自覚するだけの害悪以外のなにものでもない本だ。
 どうせならカーネギーの「人を動かす」とかを読んだ方がまだいい。「人を動かす」は賢い人たちの行動の具体例なんかがのっていて、非常に研究されていて、もちろん自分がそういった賢い人になれないとしても、勉強になる本だった。

 物語は、

「自分、昨日めっちゃ泣いとったで」
ガネーシャはなぜか宙にふわふわと浮かんでいる。
「号泣しながら言うてたやん、『変わりたい』て」

という始まり方。ガネーシャは神様らしい。
 私も、物心ついた時から20才くらいまで、正にこんな事言っていたなあと思い出す。
 自分のことをミソカスな人間だと思い、長所は「積極性」だと思っている。でもその「積極性」は自己啓発本を読んでひねり出した幻想で、外に出る前、あるいは帰ってくると家の布団でくるまって「貝になりたい」とか言っている。
「変えなきゃ!自分を変えなきゃ!立派な人間になって世界を助けるんだ!」
 若者特有の全能感を加えてさらに悪化する。

 そして、本はここからトイレ掃除しろだの寄附しろだの、普通の人がさぼりがちな「いいこと」をやれと迫ってくる。

 この本の終わりで、神様ガネーシャはこんなことを言う

「成功だけが人生やないし、理想の自分あきらめるのも人生やない。ぎょうさん笑うて、バカみたいに泣いて、死ぬほど幸福な日も、笑えるくらい不幸な日も、世界を閉じたくなるようなつらい日も、涙が出るような美しい景色も、全部全部、自分らが味わえるために、この世界創ったんやからな」

末尾にこんな言葉が見える「でも成功したいやろ?」
 彼らは成功者と不成功者に二分してしまう。実際、自己啓発系の集まりに行けば、それは明らかにある。ってか創られている。金を持っていそうな人が壇上に上がり、芸能人との交友関係を交えつつ「成功事例」を語る。「あなたのトイレは綺麗ですか?」と聞かれれば反省し、徐々に自己否定で満たされてくる。
 悪質だと自分の欠点を全部さらけ出す機会まで与えて頂ける。そして土足でドシドシ心の中に入り込んできて、財布の金を奪っていく。彼らは非常に巧みに金を稼いでいるよね。そしてよく考えられていると思う。
「成功者と不成功者の国」のカースト制度だね。

 なんや久しぶりに、啓発系の本を読むと、不満ばかり噴出することに驚いた。これも良い読書体験である。
 今私は「成功者と不成功者の国」から亡命して洗脳を解くためのリハビリ中です(笑)
 なお、生きるためには金を稼がなきゃいけない。が、それはまた別の話。