Daily Archives: 2010 年 9 月 21 日

本『これからの「正義」の話をしよう』Michael J. Sandel


 まずもって、ほんま名著です。
利己的な遺伝子:リチャード・ドーキンス
会社はこれからどうなるのか:岩井克人
これからの「正義」の話をしよう:マイケル・サンデル←NEW
 現在のベストスリー(小説は除く)

 殆どの部分が、大まかな過去の偉人の考え方をたどりながら、思考を整理していく。
 ポイントは例題の多さ。例えば「同性結婚」について、賛成反対の意見を並べつつ、過去の偉人の考え方に重ねて説明してくれる。自分が先日まで一生懸命議論していたことが、とっくに過去の偉人が考えていたことだというのは、今更ながらちょっとショック。目の前で偉人達がわかりやすく目の前で議論してくれるんだぜ。うひょー。
第2章 最大幸福原理-功利主義
第3章 私は私のものか?-リバタリアニズム(自由至上主義)
第5章 重要なのは動機-イマヌエル・カント
第6章 平等をめぐる議論-ジョン・ロールズ
第8章 誰が何に値するか?-アリストテレス
 このあたりは、過去の人がまとめてきた考え方。全てにおいて例題が豊富で、読むのは苦痛ではない。いろんな自分の考えを思い浮かべながら「自分はリバタリアニズムだなー」とか思いながら読んでいける。
 ここまででも十分面白いけど、この後からサンデル先生の考えが始まる。
第9章 たがいに負うものは何か?-忠誠のジレンマ
第10章 正義と共通善
 8章までの基本知識を基礎に、サンデル理論(共同体主義)を語り始める。
 結果的に、サンデル先生の意見に賛成できるかと言えば、そうでもなかった。けれど、言いたいことは分かるし、なによりも8章までの流れが秀逸であった。さりげなくオバマを見方につけるなんてエロいぞサンデル。

自分が何か考える時に「功利主義」的な考えをしていることに気づければ、自分でその考えに対する反論を簡単に生成することができる。
他人と意見が合わない時に、自分が「自由至上主義」で相手が「目的論」だなとか考えることができれば、考えを合わせることも容易になる。
相手を説得したい時に「目的論に偏ってるなー」とか思うことができれば、その他の視点から無理なく説得ができる。
 などなど、そーとう色々と役に立つこと確実。この本のメリットは果てしない。

 内容を抜き出して書いたりしたら、何時間あっても足りない。ぜひ読んでくれ!