Category Archives: 戯れ言

租税教室その2

 前回の租税教室から約半年。
 二回目の租税教室は、某中学3年生難しい年頃。人数は3クラス約100人。45分。

 いつもながら「租税教室をやれ」と指示が来るだけで、具体的なテーマなどはなし。今回は先生側からも要望はでなかったので、しげしげと自分で考えていきました。

 特に今回は中学3年なので、もう二度と税金の勉強はしないだろうなあと考え、今回ウンウン考えた結果次の2点をメインにすえることに決定。
「税理士について」
・職業選択としての税理士
・税金に困ったときの相談先としての税理士
(他士業との比較)
(仕事内容の説明)

「申告納税制度(所得税)」
・確定申告は自分で自発的にやる必要があること(菊池直子の懸賞金をもらったら?)
・いくら稼いだら確定申告が必要か(38万円か380万円か)
(税理士の説明と共に説明)
(クイズ形式で何問か)

 45分しかない中、後述のアニメで20分費やしたので、上記を25分で説明。
 さらに「借金(公債)が増えていることも説明しろ」とのことでしたので、5分程度費やし、正味20分。いやはや。
(個人的には税理士が財政の事を専門家ぶって学生に話すなんて、全くの専門外でやってはならないことではないかとさえ思いますが。実際、国の決算見ても、勉強しなければならないことが多すぎるわけで。まあ、それでも、税の専門家というよりは、「貸借対照表を読める」という意味であれば教師よりも税理士がやる事に意味もあるとは思います)

 そのアニメというのは国税製作のもの。中学生向けには、アナザーワールドというのを使のですが、江守徹の声で「喪黒福造(笑ゥせぇるすまん)」みたいなのがでてきて「税金をなくしてあげましょう!ドーン」と、税金の無い世界を描いていくわけです。
 普通に考えれば、税金が無くなれば(国の機能が失われれば)、地域のコミュニティが立ち上がって代わりの機能を果たすでしょうしし、ある程度は民間企業が国のサービスを肩代わりするでしょう。重要なのは年金や医療、外交、防衛の話になると思うのです。
 が、描かれているのは、火事で消防署に電話したら「すぐ消すコースですか?ゆっくりコースですか?」と聞いてくるようなアホ設定。消防署は民間になっているのに、道路は誰も整備せず穴ぼこだらけ。
 いや。正直申しまして、当初はアニメは流さないプランだったのですが「45分飽きさせずに出来るのか?」という形で詰め寄られまして、弱気になって受け入れてしまったというのが本音です。はい。情けない。次があるなら流さない。

 さて、今回やるにあたって、前回の自分がやった租税教室の映像が残っていたので見たところ
・手や体が無駄に動きまくっている
・目が生徒を見ていない(見ていたつもりだった)
・声が小さい(大きいつもりだった)
これは、内容がどうあろうと生徒も聞く気無くすわと随分凹んでみたり。

 これを反省して、今回は行動的には動きを抑え、とにかく生徒を見ることに集中することに。
 今回はビデオもとっておらんので、確認のしようはありませんが、まましっかり前回よりは聞いてくれていたと思う。

 特に

所得税(菊池直子を見つけた懸賞金に掛かる税金)は誰が計算するか?
1.納税者
2.税務署

という質問に、大量に「税務署」で手が挙がるのは楽しかった。
 間違えた大量の生徒は「申告納税制度」存在を、少しは感じてくれたんじゃないかな。

 最後の質問では「税理士って年収いくらですか?」という非常に健全で、しかも伝えたかったことど真ん中な質問がきて「税理士という仕事」について興味がわいてもらえたような気もする。

 結果的に二つの目的は、なんとなく薄っぺらではあろうが伝わったような気はする。
 私の授業を聞いた100人は聞いていない大多数の中学生よりも、人生を税金で台無しにする可能性がほんの少しでも小さくなったんじゃないか。であれば、やったかいがあったかなと。

落語は法律になる

ほぼ日「健全な好奇心は病に負けない」
 これがすばらしかったのでメモ。

 落語は法律の変わりになる。あーすごいなっとく。すなわち、人殺しを平気で笑えてしまう落語。そこには憲法があるんじゃないかってのは、すげー納得してしまった。
 311から皆が賛成反対で議論してみたけど、実は必要だったのはやっぱり「寅さん」かもしれないわけだ。

 いや、実際そこに宇多田光のツイートがめっちゃ光っていたとは思うのだけど。

 そして、寅さんができるってのは、調べ物が上手というよりは、人の心が分かっていることだったり。そんなおっさんに本当はなりたいのかな。(好きな人や物が多過ぎて 見放されてしまいそうだ)

大野さん
そうです、みんな困ってるわけですよね。
社会が動き、数多の不条理が発生しているときに、
価値概念をまず最初に導入してくることは
いちばんまずいなぁと思っています。

糸井さん
「もし法律がないとしたら、
 法律に替わるものはなんだと思いますか?」
と言われれば、ひとつは落語だと
ぼくは思っています。ドラマ、でもいいんだけど。

ふかいことをおもしろく(『吉里吉里人』井上ひさし)

 自分には面白みが足りないんだよね。
 面白みってどうすればできるかっていうと、例えば、「ふかいことをおもしろく」と井上ひさしが言っている。
 彼曰く深く突っ込んでいくことが前提だ。

 ところで、その井上ひさしの「吉里吉里人」を読んでいて、「面白さ」ってことに若干興味がわいてみたり。
 すなわち、この話は小説家である主人公が青森に電車で向っているところから始まる。
 電車で走っていると、仙台辺りで急にテロリストが現れ、乗客に急に銃をつきつけ始める。

 テロリスト曰く、我々は警官である、パスポートを出しなさい。という趣旨の事を。
 「なんの権限があって!?」などと弁護士がでてきたりしてやりとりをしていると
「おらだちは日本国の国鉄の人間なぞではねえす」
「おらだは吉里吉里人なのす」
 などと意味不明なことを言い始める。ちなみにここは爆笑ポイント。

 この仙台の地が、どうも吉里吉里人なる人たちによって分離独立され、吉里吉里国になってしまったらしいのだ。そこに不法入国してしまった主人公達・・・

この後には
ウルグアイの独立の時に交わされたモンテビデオ条約(正式名称:国の権利及び義務に関する条約)

第1条(国家の要件)
 国際法人格としての国家は、次の要件を要する。
  a 永久的住民
  b 明確な領域
  c 政府
  d 他国と関係を取り結ぶ能力

なんかも出てきたり。(さらっと)
 国家の意義を使った、簡単な笑いですわな。
 書けばあっさりだけど、やるのはたいへんだななんてw

ちなみにひょっこりひょうたん島ってのも、似たような雰囲気のする話だね。

子供たちとサンデー先生が遠足に行ったひょうたん島がひょうたん火山の噴火活動により海原へ流れ出してしまった。子供たちとサンデー先生が暮らすようになった島を訪れたへんてこな人や島の流れ着く奇妙奇天烈な所を巡って様々な事件が起きる。(Wiki)

ふかいことをおもしろく
語れるようになりたいのう

エッセイ『河童が覗いた「仕事場」』妹尾河童

 面白いことをしゃべろうと思っても面白くならない。10年くらいずっと悩んでいる気がする。こと女の子にはさっぱりだわさ。
 この妹尾河童という人は、この人自身が楽しんでいる様がちょー伝わってくる。是非一緒にいたいと思わせるオーラがあるわな。

 とまあ、あんまり関係ないけど、そんな河童さんが井上ひさしの仕事場で見つけたメモに書いてあった言葉がまたイイナと。

むずかしいことをやさしく。
やさしいことをふかく。
ふかいことをゆかいに。
    ・
困難は分割せよ(デカルト)。
作者はつねに読者に不意打ちを
かけねばならぬ。
ほんとうに起こったことの時間を
すりかえる。
文章というものは、口語と同じく、
頭の中にはっきりと掴めているか
いないかに最も大きな問題がある。
    ・
エッセイはよくよくでなければ書くな。
書くなら「作品」としてのエッセイを。
これまでに名作、傑作のたぐいを一作も書いていないと思え。勝負はこの五年だ。
『吉里吉里人』を否定しつつ進め。芝居の大当たりを過大評価してはいけない。
一字一字苦しむが良い。
集中心!

 ちなみに河童さんの文章は1985年の週刊朝日の連載だったようだ。
 井上ひさしさんの言葉はここまで拡張されている

むずかしいことをやさしく,
やさしいことをふかく,
ふかいことをおもしろく,
おもしろいことをまじめに,
まじめなことをゆかいに,
ゆかいなことをいっそうゆかいに

 面白いことを言いたいのだから、深いことを知らなきゃいけないな。
 税の事を語るなら、愉快に語らないと。
 この本はおもしろから、真面目に語ってるんだ。(ぉぃ)

2012年5月12日結婚式出席

 会社の上司である新郎の結婚式に行ってまいりました。記憶に残したいので少々。

 披露宴からの参加で会場は某ホテル。机の上に置かれた名前を示すカード、後で気づいたけれど二つ折の内側には手書きのメッセージ。気づかない人もいるかもしれない。ささやかな心遣い。
 開始時の新郎スピーチは、変わったことを言うわけでもなく、しかし堂々としており頼りがいのある人だなと。同じ言葉でも言い方でここまで違う。
 歓談時間をしっかりとり、その後、新郎新婦発案の、お菓子投げ。体を動かせるというのはやはり、自然と心がウキウキしてくる。みんな笑顔になる。
 友人の催しにも新郎は混じり、新婦が喜ぶようなサプライズを行う。
 式の最後の新郎挨拶は新婦のご両親に最大の感謝を伝える大変心がこもったもの。誰もが納得する重み付けだし、「いい式だった」と心底思わせられる内容。

 二次会も素晴らしい。新郎の始めの言葉は、披露宴と同じにも関わらず、友人相手なので笑いが起きる。同じ言葉で方や感動を誘い、方や笑いを誘う。披露宴に出た人でも、出ていない人でも笑える。なんつー技量。
 歓談では、積極的に新郎新婦とも動き回り全員に話しかけていく。2~3周はしていたんじゃないかと。
 その後は参加者の半数が賞品を手に入れられるビンゴ。新郎自らが司会進行を行い、スムーズ。上手い!
 歓談をはさみ、最後に新郎から新婦へのサプライズレター。本当に愛のこもった言葉の数々。出会ったときの印象、月の思い出に重ねた詩的な表現、真面目に語る中で「サプライズプレゼントに、実は土地を購入しました。」と語る新郎。テンションがピークに達する会場。月の権利書を新婦に渡し会場は爆笑。
 その後は新婦への愛をきちんと語る新郎。新婦の涙に息を呑む女性陣。
 
 最初から最後まで爆笑と感動とが繰り返す素晴らしい結婚式でした。
 ふざけることなく友人を楽しませる。相手親族に安心を与える。そして新婦を喜ばせる。あんな素晴らしいものが出来る人はそーいないに違いない。でも、ああいうかっこいい男になりたいなあと心底思った一日でした。

 いや新郎絶賛記事になってるけど、それは自分が目指したいからこういう目線になっているからで、新婦も素晴らしかった。涙ぐむ場面は多々あったけど、自分で言葉をしゃべる場面は総じて堂々としていて、かっこよかった。できる嫁さんだなと。

 あーほんとかっこよかった。
 補足すると、それぞれの式にそれぞれの人柄が表れ、やはりどれも感動するのであることは言うまでもない。式に呼んでいただけることは本当にありがたい。本当に。

分かりやすい説明の順序

友人と議論していてびっくりしたが、説明の方法には2種類あるらしい。

  • 目的から手段に降りてくる説明
  • 手段から目的にあがっていく説明

 人によって、理解のしやすい説明は違うらしい。

 もっとざっくりさせると

  • 何のためにやるのかはっきりしないと説明を聞く気にならない、という人
  • とりあえずやってみないとわからんがな、という人

かな。
 対象物によって違うだろうけど、友人とは1つのゲームの説明をめぐって議論した。
 私は完全に前者だ。(だった。) » Read more…

髪の毛を守るために by 床屋

 私はここ数年、シャンプーというものを使っていない。
 それは約二年前、後輩に「メリット(花王)なんて使ったら髪に悪いですよ」と言われ、よいシャンプーを見つけるのも面倒なので、「使って悪くなるなら使わなければいい」と水洗いに変更。最初ちょっとフケがでたような気がしますが、それもなくなり快調にここまできている。
 顔そり好きな私は当然美容院ではなく床屋に通っている。今の床屋さんはかれこれ8年くらいお世話になっていると思う。しかし、お互い無口なのであまり会話をしたことがないのだけど、今日は客が私一人だったこともあり、ふと、シャンプーを使っていないことを床屋さんに言ってみた。ついでに、できれば髪が薄くなるのも避けたいです・・・と。その一連の会話の流れで、色々参考になることがあったので備忘録。
 いや、オサレな皆様には当然過ぎることなのかもしれませんが・・・。
» Read more…

あけおめ

あけましておめでとうございます。今年を迎えちゃいました。
ちょいと自分のために色々振り返ってみるのです(遅)

 2011年はずいぶんとバタバタしました。最近事アルごとに言いますが、「一年があっという間」とかいう感覚は全く持ち得ない。この一年のブログを見るだけでも、本当に長かった。色んな経験したなあ。
 恵林寺の桜、大阪の串かつ、相国寺の鳴き龍、常滑で食った筍、伊藤若冲、平山郁夫、鬼平犯科帳を見てたのも今年か。結婚式も何度か呼んでいただいたし、友だちの子供もいじくらせていただいた。ハチクロやレベルEなんかのマンガも読んだ。頭のおかしいが応援してやりたい後輩もみつけたし。仕事の幅は資格をとって大きく広がった。相続関係でどうにか力になりたいなあとがんばったなあ。

 と、色々やっていたとも思うのですが、同時に途中から人に世話になるばかりで完全にバランス感覚を失っていた。趣味に、仕事に、友人に、何をどー時間配分するか、いつの間にか周りのみんなは結婚やら引越しやらで環境も変わっていて。おまけに最後には自分も引越しをして。仕事の付き合いも変わり。
 実を申せば、引越ししてからは寝ているばっかりであったような気がする。適当に買った本を読んで、呼ばれたイベントに適当に出て、任されたことをやって、仕事行って、あとは寝る。ひたすら寝る。

 で、今年もなんだかんだ波乱の一年になりそうな予感はビンビンしてはおるのですが、どーにか自分の生活を落ち着かせて、googleではないが、生活の20%くらい、人を喜ばせることに使えたらなーと思ってみたり。そー言えば直に30年生きたといわれる年になろうというのに、人を喜ばせるような事ってほとんどしてきていないなーなんて反省するわけでござんす。

 取り留めのない文章になってしまった、ブログを見返してみていると、書いた当事者ですら意味の分からない文章が散見されるのわけで。人が読みやすい文章を書くというのも重要な、人を喜ばせる要素ですわな。
 まー今年もこんな感じですが、真面目に、ちょっと踏み外しながら、生きようと思います。本年もよろしくお願いいたします。

本『銃・病原菌・鉄』Jared Diamond 訳:倉骨彰

 生物は多種多様な変化と、淘汰を繰り返しながら今の形になってきた。人間ももちろんその中の一種。ここまでは利己的な遺伝子を読んで、理解したつもり。

 さて、その進化した人間のうちでも、アフリカや南米のように貧困に喘ぐ地方と、欧米やわれらが日本のように悠々自適な生活をしている地方がある。なぜこんな違いが生まれるのか。
 白人と黒人で遺伝子レベルで違いがあるのか調べてみても、どーもそうではない。遺伝子では説明のできない、民族・地方間の格差の理由。これを、上下巻にわたってつらつらと書かれているようだ。(書いている時点で、上巻までしか読んでいない)
 例えば、農耕しやすい植物があったか、農耕に移るモチベーションはあったか、家畜化できる動物がいたか等など、世界の各地方の実情から、現状の格差の理由を導き出してくる。
 この本の根底には、今の生活水準や身分の違いは、欧米が努力したとかそーいうことではなくて、環境なんだと。運がよかっただけですよ。という感情が流れているのだと思う。

 とまあ、普通は読み終えてから感想などは書きたいのだけど、この本で本筋とはちょっとズレルのだけど、非常に衝撃的な歴史を目の当たりにされたので、それだけ別立てでメモっておきたいなと。ちょっと長いけど引用する。

 1835年11月19日、ニュージーランドの東500マイル(約800キロ)のところにあるチャタム諸島に、銃や棍棒、斧で武装したマオリ族500人が突然、舟で現れた。12月5日には、さらに400人がやってきた。彼らは「モリオリ族はもはやわれわれの奴隷であり、抵抗する者は殺す」と告げながら集落の中を歩き回った。数の上で2対1とまさっていたモリオリ族は、抵抗すれば勝てたかもしれない。しかし彼らは、もめごとはおだやかな方法で解決するという伝統にのっとって会合を開き、抵抗しないことに決め、友好関係と資源の分かち合いを基本とする和平案をマオリ族に対して申し出ることにした。
 しかしマオリ族は、モリオリ族がその申し出を伝える前に、大挙して彼らを襲い、数日のうちに数百人を殺し、その多くを食べてしまった。生き残って奴隷にされた者も、数年のうちにマオリ族の気のむくままにほとんどが殺されてしまった。チャタム諸島で数世紀の間続いたモリオリ族の独立は、1835年12月に暴力的に終わりを告げたのである。(P77-78)

» Read more…

漠然とした不安

 たまには弱音も記録に残してみようかと。
 昨年の税理士試験から一年以上が経過した。大学入学から税理士試験終了まで、それなりに気合い入れて走って来たような気がする。その期間なんと9年間。走ってきたと言うよりは、重力に任せて転がってきた、と言った方が正しいかもしれない。全力でその程度かと言われそうだけど、元が悪いのでこんなもんです。
 で、試験が終わってからのこの一年、本読んだり、人と会って話を聞いていたりすれば、自ずとまた転がり始めるだろうと思ってインプットを増やしてみたけど、転がらなかった。
 今真面目に、自分で無理矢理でも動かなければいけないのか、転がり始めるのを待つのか迷い始めている。 » Read more…