2008年2月15日

東京地裁『遡及適用は憲法に違反しないものとして許される場合もある』

 改正租税特別措置法が施行前にさかのぼって適用(遡及適用)されたため、土地・建物の売却損が所得控除されなかったのは違憲だとして、神戸市の女性らが国を相手取り、控除を認めなかった税務署の処分取り消しを求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。

(中略)

 訴訟では、遡及適用が、法律に基づかない課税を禁じた憲法に違反するかどうかが争点となったが、判決は「合理的な必要性があれば、遡及適用は憲法に違反しないものとして許される場合もある」と指摘、「適用を翌年からにすると、節税目的で土地や建物が大量に安価で売却されるおそれがあり、合理性はあった」と述べた。

YOMIURI ONLINE:東京地裁、税法の遡及適用「合憲」…福岡判決と逆判断

元代議士秘書… 税理士窪田、今日も行く!「遡及適用」が合憲とは。
 を見て、知ったのでした。
 
 とりあえずメモ程度。
 大きな疑問点
『合理的な必要性があれば、遡及適用は憲法に違反しないものとして許される場合もある』
 合理的な必要があれば、憲法は破ってもいい。と受け取れるんだが、そういうわけではないのかな。まだ、判決文がでていないらしいので、また見て研究しよう!しよう!
 

 

2008年2月 8日

社保庁金返せ

 社会保険庁は6日、年金の未支給が見つかった人に過去の未支給分を一括払いする際、本来は年単位の支給額に基づいて、各年ごとに源泉徴収額を計算すべきなのに、66年の源泉徴収開始以来、ずっと一括支給額で源泉徴収していたと発表した。仕組みの誤りに気づきながらも長年、放置していたという。03年4月以降に限っても、推計で最大約4万人は一括支給額で課税されていた。まとまった金額に課税されたために、大半の人は所得税を余分に払っていたとみられる。

毎日jp:未払い年金:一括支給で税取り過ぎ4万人 社保庁が放置【吉田啓志】

 要するに

1.年金をもらう時に、年金受給者の代わりに社保庁が計算して税金を納めてくれる。
2.しかし、社保庁が計算間違えて“税金を取りすぎてしまった”
3.つまり、年金受給者が受け取るべき年金額が少なかった。

 という流れ。
 そこで

1.正しい税金を記載した源泉徴収票を発行するので、
2.税務署に行って返してもらって下さい。

 と言う問題になる。
 んんんんん。おかしい点が2点。

1点目

 源泉徴収票って、支給額や徴収額を記載するモノだとしたら、「あるべき支給額」と「あるべき徴収額」を書いた源泉徴収票。って変。

今年1月に国税庁から指摘され、ようやく方針を転換した。8月までにシステムを改修し、対象者に各年ごとの正しい源泉徴収票を発行する。

 実務の上で、源泉徴収票というのは、「実際の給与とか年金の支払いや税金の額」を書くもんだと、教わった。ざっとネットで見てもそんな事が書いてある。実際の!だよ。
 「あるべき給与とか年金の支払いや税金の額」を書けばいいんなら、やりたい放題。
 毎日jpさんの、書き方がおかしいのか、私の知識不足なのかわからんけど。実際とは違う正しくない源泉徴収票を再発行するのはおかしい。

2点目

 その源泉徴収票らしきものが、発行されるとしても、税務署に申告してお金が返ってこないことになってるらしいんだが・・・(下記リンク参照)。

未払い年金:一括支給で税取り過ぎ4万人 社保庁が放置・・泣きっ面に蜂か名古屋の税理士 桂のブログ

 税金の流れは
年金とか給与をもらう者 → 年金とか給与を払う者 → 税務署
 と言う流れ。上記リンクにあった判例を見ると

1.源泉徴収された税金を、税務署に返してくれと言われても返しません。
2.なぜなら、「年金とか給与をもらう者」と「税務署」は直接関係は無いからです。
3.返して欲しいなら、「年金とか給与を払う者」に言えばいいやん。

 ってな事になっている。
 社保庁から支払いすぎの源泉は返してもらうべきであって、税務署に言うべきものではない。ということだな。

  どうなんでしょ。
 税務署がこれで、「社保庁が預かりすぎた税金」を返すことになれば、今後いろいろな所に弊害がでるんじゃないですかねぇ。

 あと、会社で話していた疑問点。

1. 「年金とか給与をもらう者」と「税務署」が直接関係ないのなら、
2.例え「年金とか給与を払う者」が「税務署」に預かった税金払ってないとしても
3.「税務署」が「年金とか給与を払う者」から徴収するべき。なので
4.確定申告などでは「所得税をはらったものとみなして」処置してあげる必要があるんじゃないかなぁ。

 と。

 

2008年2月 6日

武富士事件 葉玉匡美氏の感じ方

武富士事件

消費者金融大手「武富士」の故武井保雄会長と妻が、平成11年に長男の俊樹氏(42)に贈与した外国法人の株に対する約1330億円の追徴課税処分をめぐり、俊樹氏が処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が23日、東京高裁であった。柳田幸三裁判長は国に課税の取り消しを命じた1審東京地裁判決を取り消し、課税を適法とする逆転判決を言い渡した。

武富士元会長の長男敗訴 課税取り消し訴訟控訴審 逆転判決「住所は都内」

武富士の事件について、「会社法であそぼう」の葉玉匡美氏がコメントしていた。

  • 「租税回避目的」という主観的要件を「住所」の認定に用いること
  • 滞在日数を軽視すること

には疑問を感じるとのこと。「逆に日本に滞在する外国人についても、同じようなことがいえますか?(意訳)」といった感じ。

「個人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する」

という解釈が確立していたはずです(所基通2-1等)から、武富士事件控訴審決定が、租税回避目的という主観的要素を「住所」のあてはめの際に用いたことは、単に事実認定を行っただけではなく、「住所」について新たな解釈を加えたことにほかなりません。

ふむふむ。

★そのほか

 そもそも、裁判所は、「事実認定」と「法律の解釈」という2つのツールで「妥当な解決」を図る仕事です。
 
 そのため、普通の「事実認定」と普通の「法律の解釈」をしたにもかかわらず、裁判官が、「この結論は妥当ではない」と感じたときには、悩みが生じることでしょう。

 そのとき、裁判官には

(1) 普通の判断をして「妥当とは思えない解決」をする

(2) 「普通の法律の解釈」を変えて、「妥当と思える結論」を得る

(3) 「普通の事実認定」を変えて、「妥当と思える結論」を得る

の3つの選択肢があるのですが、本来、事実認定は、法律の解釈や結論とは無関係に、価値判断を加えず、証拠から淡々と認定すべきものですから、(3)は邪道です。

 裁判官自身が「妥当」とは思えなくても、一般常識的には「妥当」な場合だってあるのですから、謙虚に(1)を選択するのもおかしなことではありません。

 しかし、裁判官が、どうしても「妥当と思える結論」に拘るのならば、(2)の法律の解釈の変更という手段を採るべきです。

ふむふむ

★その他気になった点

最高裁は、原則として事実認定には立ち入れないので

このような言葉があったのでどういうことか探してみると。。

 事件は,原則として,高等裁判所で行われた裁判の結果に不服な当事者から提出される上告の申立てによって始まります。最高裁判所は,法律審ですから,審理は通常書面審理により行われます。上告理由がないと判断される事件については,口頭弁論を経ないで上告を棄却することができます。しかし,当事者から不服のある点について直接聴いた方がよい事件については,口頭弁論を開いて意見を述べる機会を設けた後に判決を言い渡します。

裁判所:最高裁判所の裁判手続

最高裁は法律審というものだそうで。それを調べてみると

 最高裁判所の役割は、下級審の判断が憲法に違反していないか最高裁の判例に抵触するものではないかについて判断すること。事件の事実関係については下級裁判所にまかせる一方、司法の頂点に立つ最高裁判所は憲法に基づいて法令解釈を統一する役割を担っているのです。当事者ABはもはや事実関係について争うことはできず、裁判官に向かって法令解釈についての意見を述べることしかできません。

(中略)

 この役割の違いから、最高裁判所は「法律審」、下級裁判所は「事実審」と呼ばれます。よって上告されるに相応しい事件とは憲法問題や判例問題を含んでいる事件に限られることになります。

憲法の番人って感じでしょうか。

最高裁に行くとしたら、どんな訴え方をするのんか・・・。その時点で私には疑問です。裁判の追っかけをしてみよう。

 

 

2008年2月 1日

憲法と法律

 最近、税理士の方々のブログで『租税法律主義』とか『遡及適用』とか、憲法の言葉が飛び交っている。少し気にしてみる。 

憲法第30条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
The people shall be liable to taxation as provided by law.
 
憲法第39条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
No person shall be held criminally liable for an act which was lawful at the time it was committed, or of which he has been acquitted, nor shall he be placed in double jeopardy.
 
憲法第84条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
No new taxes shall be imposed or existing ones modified except by law or under such conditions as law may prescibe.

  このあたりが最近話題に上って、知ることとなった税法と関係がある憲法達。

 84条については、最近の武富士相続税の判決で。39条については、『税法の遡及適用は違憲、福岡地裁が住宅売却損の控除認める』というやつに関連して出てきた感じ。

 39条が遡及処罰の禁止(wikipedia参照)と、一事不再理という言葉で表されるらしい。

 84条が租税法律主義(租税条例主義であることもあるらすい)という言葉。

 最高規範の憲法についても勉強しなきゃ・・・と思ったのでした。

 

 福岡地裁の事件については、この元代議士秘書… 税理士窪田、今日も行く!というところが大変わかりやすかったです。続報を期待 ^o^