2009年12月 7日

人格のない社団等は税法上法人か個人か

法人税法では

第三条1項
人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(別表第二を除く。)の規定を適用する。

と仰せである。

相続税法では

第六十六条1項
代表者又は管理者の定めのある人格のない社団又は財団に対し財産の贈与又は遺贈があつた場合においては、当該社団又は財団を個人とみなして、これに贈与税又は相続税を課する。

と仰せである。

相続税法第六十六条にこんな事も書いてある。

第六十六条5項
第一項(第二項において準用する場合を含む。)又は前項の規定の適用がある場合において、これらの規定により第一項若しくは第二項の社団若しくは財団又は前項の持分の定めのない法人に課される贈与税又は相続税の額については、政令で定めるところにより、これらの社団若しくは財団又は持分の定めのない法人に課されるべき法人税その他の税の額に相当する額を控除する。

人格のない社団に贈与があった時は、先に法人税を払って。その後贈与税を払えと。

贈与されたときだけ、人格のない社団は「個人」とみなされる。ちょっと可哀想。

2009年11月22日

相次相続控除(相続税法第二十条)

 相次相続控除は、相続が短期間で重なってしまった人の為に相続税を減額してあげよう。という心優しい規定。

 要件は

  • この規定を受けたい人(あなた)が相続人であること。(放棄とかしちゃだめ)
  • 一回目(前回)の相続と二回目(今回)の相続の間が10年以内であること。
  • 今回亡くなった方が、前回の相続の相続人であったこと。

 

 計算式は至って簡単。祖父が死んで、今回親父が死んだとすると。

今回あなたが控除できる相続税額(1)
親父が払った相続税額(2)
×前回親父が相続した財産残っている割合{親父が使って相続されない分まで控除しない}(3)
×自分が今回相続する財産全体に対する割合{あなたの分}(4)
×経過年数に応じた割合{前回と今回が近いほどたくさん控除}(5)

(2)親父が払った相続税額には、利子税とかの附帯税は入れちゃダメ
(3)今回の相続財産の合計(生前贈与は相続によるモノじゃないから入れない、でも精算課税は入れる)
  ÷{前回相続により取得した財産の合計-前回の相続税額}(正味財産)
(4)生前贈与前で計算
(5){10年-前回から今回までの期間(年切捨)}÷10年

ブログに書くまでもない感じの規定だった。残念。法律見るとげんなりする規定だが。
相続税の申告書は最低10年はとっておきましょうって事だね。

2009年11月13日

とん税

海運会社の決算をしていると、とん税という、かわいい税金が出てきた。なんだろう。

まず税法

 お客さんから聞いたところによると(税金のこと聞いてどうする!)、港に船が入る一日前までに払うんだ。頻繁に港に入るようなら一年分前払いするとお得。と聞いたのですが・・・はたまた。

課税されるもの:
外国貿易船(外国貿易のため本邦と外国との間を往来する船舶をいう。 )

税額:
1.開港への入港ごとに納付する場合:外国貿易船の純トン数(切上)×((16円(とん税)+20円(特別とん税))
2.開港ごとに一年分を一時に納付する場合:外国貿易船の純トン数(切上)×(48円(とん税)+60円(特別とん税))

 3000トンの船だと、3000×36円=108,000円
 そんなにきつい税金でもないな。こっそり税。

純トン数:
旅客又は貨物の運送の用に供する場所とされる船舶内の場所の大きさを表すための指標として用いられる指標(船舶のトン数の測度に関する法律)

 どんだけ入るか。って事だな。

納期限:
外国貿易船の出港の時までに納付(一年分を納付するときは、最初に入港したときから1年以内)

 とん税が国税特別とん税が地方税的な感じだな。ただ、特別とん税も区分は国税らしい。今度お客さんにとん税の申告書見せてもらおう。

2009年11月12日

脱税とはなんぞや

茂木健一郎氏が4億の所得漏れ

という話の中で「茂木さんは脱税で逮捕されないのか!?」みたいな文字をTwitterで見かけたので脱税について勉強。

 

法律で記載してあるところは

所得税法第二百三十九条  偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)(第百六十六条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第九十五条(外国税額控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした所得税の額)につき所得税を免れ、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

これだろう。問題は

偽りその他不正の行為に該当すれかどうかのようだ。

ここで国税不服審判所(平11.3.19裁決、裁決事例集No.57 50頁)で、国税通則法第70条5項にある「偽りその他不正の行為」についてこんなことが書いてある。(所得税法と国税通則法での用語の使い方は同じだという前提で)

 ここでいう「偽りその他不正の行為」とは、税額を免れる意図の下に、税の賦課徴収を不能又は著しく困難にするような何らかの偽計その他の工作を伴う不正の行為を行うことをいうのであって、単なる不申告や過少申告行為は含まれないが、名義を仮装、二重帳簿を作成する等して法定の申告期限内に申告せず、あるいは税務調査に際し虚偽の陳述をしたり、申告期限後に作出した虚偽の事実を呈示したりして正当に納付すべき税額を過少にしてその差額を免れた場合はもちろん、真実の所得を秘匿し、それが課税の対象となることを回避するため、当初から所得を過少に申告する意図の下、その意図を外部からもうかがい得る特段の行為をした上、所得金額をことさら過少にした内容虚偽の確定申告書を提出し、正当な納税義務を過少にしてその不足額を免れたような場合は、これに該当するものと解するのが相当である。

 ここでは単なる不申告は含まれないとある。

 この解釈でいけば、茂木先生は脱税ではなさそうな気がします。

以上、もう少し書きたいがお昼休憩短い・・・。

 

2009年10月 8日

納税者番号制度

信託大好きおばちゃんのブログ : 納税者番号とセット? 給付付き税額控除

 

 を取っ掛かりに納税者番号制度について

 よく考えれば、番号つくんだろうなぁというのはわかるけど、内容は知らない。

 そこで財務省を見てみた。

 

●主な資料

財務省HP:納税者番号制度に関する資料

●どんな制度?

1.納税者は付番機関(税務署じゃない機関)から納税者番号をもらう。

2.付番機関は税務署に情報を提供する。

3.納税者は取引の時、その納税者番号を取引先に通知する。

4.取引の相手先は、情報申告書を税務署に提出する。

5.納税者は納税申告書に、納税者番号を記載して申告する。

6.税務署は、取引をコンピュータをいじるだけで、パパぱっと取引のおかしい点が見えてくる。

●外国では?

社会保障番号を活用・・・アメリカ・カナダ

住民登録番号を活用・・・デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・韓国・シンガポール

税務番号・・・イタリア・オーストラリア

全くなし・・・フランス

 

●個人的視点

 まず、情報申告書ってのは何ぞや。ってこと。会社の取引情報を取引相手の納税者番号つきで、がっつり報告しろ。とでも言うのだろうか。

 まだまだパソコンさえない中小企業が無い現状で、納税者に公平な納税者番号制度。というのは成り立つのだろうか・・・。今尚手書きの帳簿を使っている人が多い現状で、どこまで対応できるのか?

 仮にできたとして、税務署はずいぶん作業が減るはず。その辺はリストラしたりする気はあるのだろうか。浮いた力は全部調査とかにまわすのだろうか。

 

 ずいぶんと広大な計画のようだけど、社会保険とか住民税とかそういった国のサービスで使われる番号を統一するといったことは触れていない。まずはそーいう行政サービスの一元化からじゃないのかなぁ。

※民主党のマニュフェストには、社会保障も一緒にすると書いてあるねぇ。(追記) 

 

 とまあ。

2008年5月11日

工事進行基準:損失が見込まれることとなった場合

 会計の世界と、税務の世界では、工事進行基準の「損失が見込まれることとなった場合」については取り扱いが異なる。

 工事進行基準は損失が見込まれることとなった時点で、

  •  税務の世界では、工事進行基準は適用停止。
  •  会計の世界では、工事進行基準を停止せず、見込まれる損失に対して引当金

 ってな事らしい。利益の早期計上は認めるけど、損失の早期計上は認めないと言うスタンスが税法っぽい。

法人税法 64条(工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度)

第六十四条  内国法人が、長期大規模工事(工事(製造を含む。以下この条において同じ。)のうち、その着手の日から当該工事に係る契約において定められている目的物の引渡しの期日までの期間が二年以上であること、政令で定める大規模な工事であることその他政令で定める要件に該当するものをいう。以下この条において同じ。)の請負をしたときは、その着手の日の属する事業年度からその目的物の引渡しの日の属する事業年度の前事業年度までの各事業年度の所得の金額の計算上、その長期大規模工事の請負に係る収益の額及び費用の額のうち、当該各事業年度の収益の額及び費用の額として政令で定める工事進行基準の方法により計算した金額を、益金の額及び損金の額に算入する。
 内国法人が、工事(その着手の日の属する事業年度(以下この項において「着工事業年度」という。)中にその目的物の引渡しが行われないものに限るものとし、長期大規模工事に該当するものを除く。以下この条において同じ。)の請負をした場合において、その工事の請負(損失が生ずると見込まれるものを除く。)に係る収益の額及び費用の額につき、着工事業年度からその工事の目的物の引渡しの日の属する事業年度の前事業年度までの各事業年度の確定した決算において政令で定める工事進行基準の方法により経理したときは、その経理した収益の額及び費用の額は、当該各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額及び損金の額に算入する。ただし、次の各号に掲げる場合に該当することとなつたときは、当該各号に掲げる事業年度以後の事業年度については、この限りでない。
一 その工事の請負に係る収益の額及び費用の額につき、着工事業年度後のいずれかの事業年度の確定した決算において当該工事進行基準の方法により経理しなかつた場合 その経理しなかつた決算に係る事業年度の翌事業年度
 その工事の請負につき損失が生ずると見込まれるに至つたことその他政令で定める事由が生じた場合 その事由が生じた日の属する事業年度
3(省略)
 
 
工事契約について、工事原価総額等が当該工事契約における工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額(工事損失)のうち、当該工事契約に関して既に計上された損益の額を控除した残額を、工事損失が見込まれた期の損失として処理し、工事損失引当金として計上する。
 

2008年4月25日

消費者庁とシスマネ(その1)

しょうしょう書いたのだけど、時間係りそうなので、一時退避・・・。

計画性ない私ですな・・・。

 

2008年4月15日

興銀税務訴訟

 貸倒損失について調べていて、『興銀税務訴訟』という話にたどり着いた。

 あんまり詳しく解説してくれているサイトもみつけられないので自分なりにまとめてみる。ちなみに、判例をみるのははじめてで、ド素人であります。できるだけ引用部分と、自己解釈部分わかるように書いておこうと思います。
(主に最高裁判例を元に記述。)
 本文は社名は伏字ですが、
A社は日本ハウジングローン株式会社(JHL社と書く)
B銀は日本興業銀行(旧興銀と書く)
 を指すものとして解釈してしています。)

要約

 旧興銀が平成8年3月にJHL社に対する貸出金3,760億円の損金処理を実施したが、国税がこれを否認。この更正を不服として裁判へ。

平成8年3月  (旧)株式会社日本興業銀行(以下「旧興銀」という)は、平成7年度決算において日本ハウジングローン株式会社に対する貸出金償却額3,760億円の損金処理を実施
平成8年8月23日  麹町税務署長より当該法人税額等の更正処分通知を受領

(文末※2より引用)

 高裁では

(1)道義的に回収しにくかったことは認めるけど、やっぱり全額回収不能であったとはいえないからダメ

(2)解除条件付きで本件債権の放棄がされていて、かつ、関係者の協議が成立したのも翌事業年度だからダメ

 として国税の主張を認める。

 (1) 平成8年3月末時点において,A社の資産からは少なくともその借入金総額の約40%に相当する1兆円の回収が見込まれていたから,本件債権が全額回収不能であったとはいえない。B銀が母体行として社会的,道義的にみて本件債権を行使し難い状況が生じつつあったといえても,本件債権が法的に非母体金融機関の債権に劣後するものとなっていたとはいえない。
 (2) 本件債権には回収不能部分があったが,解除条件付きで本件債権の放棄がされたものであり,本件における流動的な事実関係の下では,本件事業年度の損金として確定したとはいえず,また,行政機関等のあっせんによる関係当事者間の住専処理に係る協議が成立したのは翌事業年度というべきであるから,本件債権相当額を損金の額に算入することは許されず,他にこの損金算入を認めるべき理由はない。
 (3) したがって,本件各処分は適法である。

(文末※1より引用)

 しかし旧興銀が上告した結果、最高裁は高裁とは異なる「当時のJHL社の資産等の状況からすると,本件債権の全額が回収不能であることは客観的に明らかとなっていたというべきである。」ということで、損金処理を認めた。(引用はすぐ下の、この『この裁判で明らかになったこと』参照)

 こんなところです。

この裁判で明らかになったこと

 この裁判で明らかになったことは

(1)貸倒損失の計上要件

 (1) 【要旨1】[<u>]法人の各事業年度の所得の金額の計算において,金銭債権の貸倒損失を法人税法22条3項3号にいう「当該事業年度の損失の額」として当該事業年度の損金の額に算入するためには,当該金銭債権の全額が回収不能であることを要すると解される。そして,その全額が回収不能であることは客観的に明らかでなければならないが,そのことは,債務者の資産状況,支払能力等の債務者側の事情のみならず,債権回収に必要な労力,債権額と取立費用との比較衡量,債権回収を強行することによって生ずる他の債権者とのあつれきなどによる経営的損失等といった債権者側の事情,経済的環境等も踏まえ,社会通念に従って総合的に判断されるべきものである。[</u>]

(文末※1より引用)

 『債務者の資産状況,支払能力等の債務者側の事情のみならず,債権回収に必要な労力,債権額と取立費用との比較衡量,債権回収を強行することによって生ずる他の債権者とのあつれきなどによる経営的損失等といった債権者側の事情,経済的環境等も踏まえ,社会通念に従って総合的に判断されるべきものである』と言うのが大事なのかな。

(2)「全額が回収不能」っていう状態の1例

【要旨2】[<u>]以上によれば,B銀が本件債権について非母体金融機関に対して債権額に応じた損失の平等負担を主張することは,それが前記債権譲渡担保契約に係る被担保債権に含まれているかどうかを問わず,平成8年3月末までの間に社会通念上不可能となっており,当時のA社の資産等の状況からすると,本件債権の全額が回収不能であることは客観的に明らかとなっていたというべきである。そして,このことは,本件債権の放棄が解除条件付きでされたことによって左右されるものではない。
 したがって,本件債権相当額は本件事業年度の損失の額として損金の額に算入されるべきであり[</u>],

(文末※1より引用)

 解除条件付きの債権放棄であっても、回収不能であることが客観的に明らかであれば、貸倒損失としてえ処理してよいよ。と。

そもそもの事実関係

 この話の時間的な流れ、事実関係をまとめておく。

 JHL社は昭和51年に『母体行と呼ばれる銀行が中心となって設立された住宅金融専門会社の一つ』で、『金融機関から融資を受けてそれを貸し付ける営業形態を採っていた』会社。そして、このJHLにもっとも融資した金融機関が、旧興銀ということです。
 その後、JHl社はバブルの崩壊の影響をもろに受けて『平成3年以降、財務状況が急激に悪化』。平成7年6月30日の時点では、『資産残高2兆5151億円のうち不良債権額が1兆8532億円に達』していたようです。

 文章のあちらこちらから数字を集めてくると、以下のような状態になっていたものと想像されます。(あちこちから集めてきたので、時点とかはぐちゃぐちゃです。)

kougin.gif

 単純にB/Sっぽくすると、

余裕資金 12,103億 負債 54,197億

 という悲劇的な状態。(図の一番上の行)

 これを処理するために

内閣は,平成7年12月19日,

  1. 住専処理機構を設立して住専の資産等を引き継ぐこととし,回収不能な不良債権に係る損失見込額約6兆2700億円及び欠損見込額約1400億円を処理すること,
  2. 母体行に,住専に対する債権約3兆5000億円の全額放棄並びに同機構への出資及び低利融資を要請すること,
  3. 一般行に,住専に対する債権のうち約1兆7000億円の放棄及び同機構への低利融資を要請すること,
  4. 農協系統金融機関に,貸付債権の全額返済を前提として,同機構に対する約5300億円の贈与及び同機構への低利融資の協力を要請すること,
  5. 預金保険機構に住専勘定を設け,平成8年度当初予算において,同勘定に対して6800億円を支出すること,
  6. 住専処理機構により債権の回収を強力に行うこと,
  7. 以上について所要の法的措置を講ずるとともに,関係機関による調整が行われ適切な処理計画が策定された住専から速やかに同機構に対し資産等の譲渡を行い,その処理を着実に進めていくこと,

以上を主な内容とする閣議決定(以下「本件閣議決定」という。)をした。

(文末※1より引用、改行等少しいじっています。)

 また、

 大蔵省は,同8年1月24日,住専7社の第Ⅲ分類資産(最終の回収又は価値について重大な懸念が存し,したがって,損失の発生が見込まれるが,その損失額の確定し得ない資産に分類される債権)に係る損失(2次ロス)1兆2400億円の負担について,預金保険機構の中に金融安定化拠出基金を設立し,住専7社に融資している関係金融機関に基金の拠出を求め,同基金の運用益等で賄うこと等を内容とする案を示したところ,関係金融機関は,同月25日,これに同意する意向を示した。そこで,内閣は,同月30日,上記2次ロス処理方策を内容とする閣議了解(以下「本件閣議了解」という。)をした。

(文末※1より引用)

 と、こんな閣議了解をした。(内閣の意思決定が完了)

 そして、こういった経過を得て、旧興銀は3月21日

母体5社は,本件閣議決定及び本件閣議了解で示された住専処理計画に沿って,A社の不良資産のうちの損失見込額1兆3588億円及び欠損見込額187億円の合計1兆3775億円について,B銀及びD銀がA社に対する債権5370億円を全額放棄し,一般行がA社に対する債権合計9264億円のうち4999億円を放棄し,さらに,農協系統金融機関が3407億円を贈与することとし,これらによって上記の損失及び欠損の見込額を分担することを基本とする処理計画

(A社はJHL社、B銀は旧興銀、文末※1より引用)

上記の内容及びこれに意見等がある場合には同月25日までに連絡するように求める旨を記載した書面をA社に債権を有するすべての一般行に送付した

(文末※1より引用)

一般行から特段の意見は表明されなかった。

(文末※1より引用)

そして

B銀は,同月29日,A社との間で債権放棄約定書を取り交わし,A社の営業譲渡の実行及び解散の登記
が同年12月末日までに行われないことを解除条件として本件債権を放棄する旨の合意をした。

(文末※1より引用)

これを根拠に、三月末の決算で損金算入。

そして、

平成8年8月23日  麹町税務署長より当該法人税額等の更正処分通知を受領

平成8年8月27日  当該処分に伴い追徴税額2,226億円を仮納付

平成9年10月27日  国税不服審判所が請求棄却の裁決

平成13年3月2日  第一審判決【旧興銀勝訴】

平成14年3月14日  控訴審判決【旧興銀敗訴】

(文末※2より引用)

という流れです。

で。最高裁で旧興銀側が勝訴。

 裁判の詳細

  • 事件番号:平成14(行ヒ)147
  • 事件名:法人税更正処分等取消請求事件
  • 裁判年月日:平成16年12月24日
  • 裁判所名:最高裁判所第二小法廷
  • 裁判種別:破棄自判
  • 原審裁判所名:東京高等裁判所
  • 裁判長:滝井繁男

 リンク(引用元)

※1 裁判所
※2 株式会社みずほフィナンシャルグループ:法人税更正処分等取消請求訴訟に係る判決について
※3 KPMG Japan:4.事例研究 日本興業銀行の不良債権処理をめぐる税務訴訟 - 1

関係条文等

法人税法22条

3  内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一  当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二  前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三  当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

民法127条

(条件が成就した場合の効果)
第百二十七条  停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
2  解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
3  当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。

法人税法・基本通達 9-6-1

 法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。(昭55年直法2-15「十五」、平10年課法2-7「十三」、平11年課法2-9「十四」、平12年課法2-19 「十四」、平16年課法2-14「十一」、平17年課法2-14「十二」、平19年課法2-3「二十五」により改正)

(1) 会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生計画認可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額

(2) 会社法の規定による特別清算に係る協定の認可の決定があった場合において、この決定により切り捨てられることとなった部分の金額

(3) 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額

イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの

ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの

(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額

法人税法・基本通達 9-6-2(回収不能の金銭債権の貸倒れ)

 法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。(昭55年直法2-15「十五」、平10年課法2-7「十三」により改正)

(注) 保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する。

法人税法・基本通達 9-6-3(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)

 債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下9-6-3において同じ。)について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認める。(昭46年直審(法)20「6」、昭55年直法2-15「十五」により改正)

(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)

(2) 法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき

(注) (1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。

最後に

 中途半端ではありますが、書きながら十分楽しめたので公開ー。また貸倒系は寄付金や給与との絡みも合って楽しそうなのでみてみませう。
 

2008年3月25日

租税特別措置法期限切れ

 長いこと更新できていませんが、一生懸命調べながら一つのエントリーを作成しています。なかなかお昼の休憩時間だけでは完成しない(><)

 ところで、備忘録として、今回の「租税特別措置法期限切れ」のお話を。

 「税金まにあ」木村税務会計事務所通信
 【税制改正】ガソリン税だけじゃない!交際費損金不算入制度も瞬間的に期限切れ?!

 と言う記事が面白かったです。今回のごたごたで、交際費の損金不算入が通らないとか。

 

 現在の「交際費等の損金不算入(租法61の4)」の期限が『平成十八年四月一日から平成二十年三月三十一日までの間に開始する各事業年度』となっているので、もうちょっとで切れることになる。期限だけ付け替えた改正法案が通らないので、期限が切れる。

 って当然やないかい。期限は守るものだ。もっと長く続けるつもりだったのならもっと長い期間で出したりすればよかっただけだし。参議院が否定したんだから、いかんもんはいかんだろ。むしろ衆議院の返して通すってのが気持ち悪いくらい。

 法律を人質に使うのはどうなんだ!とかいうみみっちい議論ではなくて、租税特別法ってどーいうものか考え直す機会にすればいいのになーと思う。私は民主党グッジョブだと思う。

 で、税収が足りなかったりするなら、それはそーいう国会議員を選んだ国民が責任を取るだけだし。私のお腹は痛まないので言えることではあるのだが・・・。

(交際費等の損金不算入)
第六十一条の四  法人が平成十八年四月一日から平成二十年三月三十一日までの間に開始する各事業年度(清算中の各事業年度を除く。)において支出する交際費等の額(当該事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額(資本又は出資を有しない法人その他政令で定める法人にあつては、政令で定める金額)が一億円以下である法人については、当該交際費等の額のうち次に掲げる金額の合計額)は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

2008年2月15日

東京地裁『遡及適用は憲法に違反しないものとして許される場合もある』

 改正租税特別措置法が施行前にさかのぼって適用(遡及適用)されたため、土地・建物の売却損が所得控除されなかったのは違憲だとして、神戸市の女性らが国を相手取り、控除を認めなかった税務署の処分取り消しを求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。

(中略)

 訴訟では、遡及適用が、法律に基づかない課税を禁じた憲法に違反するかどうかが争点となったが、判決は「合理的な必要性があれば、遡及適用は憲法に違反しないものとして許される場合もある」と指摘、「適用を翌年からにすると、節税目的で土地や建物が大量に安価で売却されるおそれがあり、合理性はあった」と述べた。

YOMIURI ONLINE:東京地裁、税法の遡及適用「合憲」…福岡判決と逆判断

元代議士秘書… 税理士窪田、今日も行く!「遡及適用」が合憲とは。
 を見て、知ったのでした。
 
 とりあえずメモ程度。
 大きな疑問点
『合理的な必要性があれば、遡及適用は憲法に違反しないものとして許される場合もある』
 合理的な必要があれば、憲法は破ってもいい。と受け取れるんだが、そういうわけではないのかな。まだ、判決文がでていないらしいので、また見て研究しよう!しよう!